健康管理情報

排尿時の痛み -気になるからだの危険信号 痛み-

2000年12月号
更新)
気になるからだの危険信号

排尿の際に、膀胱や尿道のあたりに強く痛みを感じることを「排尿痛」といいます。激しい排尿痛があるときは、尿路に炎症が起こっているサインです。さまざまな病気が原因として考えられますので、早めに泌尿器科を受診しましょう。

 

 

膀胱炎

排尿痛のうち、最も多いのが、膀胱炎です。特に女性に多く、5人に1人の女性は、膀胱炎にかかるといわれています。

男性

男性の尿道は長く、外尿道口から入った細菌は、膀胱に達する前に排尿によって流されることが多い。前立腺からの分泌液には、細菌の侵入を防ぐ働きがある。

 

女性

女性は、男性に比べて、尿道が短い上、肛門や膣前庭部と外尿道口が近いので、その分、細菌が膀胱の中に入りやすい。

 

原因

主に大腸菌などの腸内細菌の感染によって膀胱の粘膜に炎症が起こる

症状
排尿痛 排尿の終了時に、尿道部にツーンとするような強い痛みがある
頻尿 昼夜を問わず、頻繁に尿意が起こり、トイレに行ってもたくさんの尿がでるわけではないが、排尿後もまだなんとなく尿が残っている感じがして、すぐにまたトイレにいきたくなる。ひどい場合は、30分~1時間ごとにトイレに行くこともある
混濁尿 普段はわからなくても、コップに取り、光にすかしてみると尿が白っぽく濁る

日常生活上の注意

膀胱炎は治りやすい病気ですが、再発しやすいという特徴があります。予防して十分に注意しましょう。

  • 排尿を我慢しないようにしましょう
  • 水分(水、お茶、牛乳、ジュースなど)は多めにとりましょう
  • 外陰部を清潔に保ちましょう(特に生理時には)。
  • トイレットペーパーは前から後ろに使いましょう
  • 下腹部を冷やさないようにしましょう
  • 下腹部をしめつけるもの(ガードルなど)、通気性の悪い下着はなるべく使用しないようにしましょう
  • 過労は避けましょう
  • アルコールや刺激物(カレー、わさび、からし)は避けましょう

尿道炎

男性よりも女性に多い病気ですが、女性はすぐに膀胱炎を併発するので、単独で発病するのは男性の方が多くなっています。

原因

細菌の感染によって尿道の粘膜に炎症が起こる

症状
排尿痛 排尿の始めか、または終了時に、焼けるような痛みがある(女性の場合はあまりない)
尿道のかゆみ
排膿 尿道から乳白色の膿がでることがある

前立腺炎

男性の場合は、膀胱炎とよく似た症状の前立腺炎があります。

原因

細菌の感染によって前立腺炎の粘膜に炎症が起こる

症状
急性 高熱、会陰部(肛門と陰のうの間)の痛み、尿の出が悪い
慢性 尿道・会陰部の不快感、排尿時の痛み、射精時の痛み

膀胱結石・尿道結石

腎臓、尿管、膀胱、尿道などの尿路に結石ができる病気を総称して尿路結石と呼びます。そのうち、膀胱結石・尿道結石の場合、排尿時に痛みがあります。女性に尿道結石が起こることは少なく男性がほとんどです。

※ 膀胱結石、尿道結石など → 下部尿路結石症

下部尿路結石症
症状 頻尿、排尿痛、残尿感、血尿、排尿困難、尿閉、尿腺中絶
治療法 ・経尿道的内視鏡による摘出術
(小さい結石はそのまま、大きい結石はくだいて摘出する)
・開腹手術
原因
膀胱結石 腎臓でつくられた結石が、膀胱内に停滞して大きくなるか、あるいは、膀胱内で結石がつくられる
尿道結石 腎臓や膀胱でつくられた結石が、尿道の途中にとどまってしまう
症状

排尿痛、血尿、排尿困難

排尿痛を引き起こさないために!

排尿痛は、ほとんどが尿路の細菌感染によって起こるものですが、体が健康なときには、抵抗力が十分にあるので少しぐらいの細菌が感染しても発病しません。抵抗力が落ちていると発病しやすくなりますので、風邪や冷え、過労、ストレスに注意して予防しましょう。

来月のテーマは、「めまい -気になるからだの危険信号-」です。