生活習慣病を予防する特定非営利活動法人 日本成人病予防協会
厚生労働省が今年2月に発表した2002年の患者調査によると、うつ病を中心とした気分障害の入院・来院患者数の推計は約71万人であり、3年前と比較して1.6倍以上も増加しました。
また、小学館などが今年7月、専業主婦と働いている主婦(平均年齢37歳)に「最もストレスを感じる相手」を調査したところ、第1位 夫、第2位 子供、第3位 自分自身、第4位 義理の親、第5位 自分の親であるということがわかりました。次いで上司、同僚、見知らぬ人、友人、姉妹という結果になりました。
ストレスとは、もともと物理学の「物のゆがんだ状態」を示した用語です。例えば、ボールを手でぎゅっと押したとき、手でかけた圧力を「ストレッサー」、それによってボールがゆがんだ状態を「ストレス」といいます。
ストレスは、とかく悪者として扱われがちですが、、ストレスはなくても困るものなのです。ストレスにはよいストレス(ユーストレス)と悪いストレス(ディストレス)があります。
こうして考えるとストレスを無くす努力をするよりも、いかに「悪いストレスを良いストレスに変えていくか」が重要だと分かります。例えば、書類の提出期限を目標と捉えてバネにしてがんばる人もいますが、迫り来る締切と感じて自分を苦しめる人もいるのです。「ストレス」を乗り越えて得られる「快感」は、「達成感」、「満足感」となります。
ストレスの概念を医学界に取り入れたセリエ博士は、「ストレスは人生のスパイス」と表現しています。プレッシャーを楽しめるゆとりがあるとよいですね。
ストレスに心身が振り回されないようにするには、自分のストレス状態をよく知ることが第一です。
~ いくつ当てはまるかチェックしてみましょう! ~
まず、本人の話をじっくり聞きましょう。なぜ「変化」が起こったのかを探り出すことが大切です。精神科医や心理カウンセラーといった専門家ではなくても、話を聞くうちにその人に何が起こったのかが分かってきます。また、話しても人に聞いてもらうだけでこころが軽くなり、問題が解決することもあります。
専門的な知識のない人が、こころの病気かどうかを正確に診断することはできませんが、「なんだかおかしいな」と感じたら、こころの病気を疑って専門医の診療を受けるようにすすめましょう。
最近は、本人が自分の「変化」に気付いて、精神科の診療を受けるケースが増えています。しかし、本人にこころの病気の自覚がなかったり、受診を拒む場合は、神経内科ができて受診しやすくなっているので、家族など身近な人が医療機関を訪れ、専門医からアドバイスを受けるとよいですね。
来月のテーマは、「神経症① ~こころがもたらすからだの病気~」です。