健康管理情報

酸味 ~おいしさの秘密~

2011年4月号
更新)
おいしさの秘密

今月は、酸味に注目します。

酸味とは

酸味とは、酢やレモン、梅干などの「すっぱい」と言い表される味のことをいい、人間が味わうことのできる五種類の基本的な味(甘味、塩味、酸味、苦味、酸味)のひとつです。
酸味は、本来、腐ったものや未熟なものを示す味として認識されますが、食経験を重ねるにつれて、食欲増進やエネルギー代謝に関わる有機酸を示す味として好まれるようになると考えられています。

 

  

 

酸味をもたらす成分は、有機酸である酢酸やクエン酸などが代表的です。酢酸は酢に、クエン酸はレモンや梅干に多く含まれています。
なお、クエン酸という名称には、中国産の柑橘類である「クエン」をはじめ、柑橘類に共通して多く含まれている酸、という由来があります。

すっぱい顔にはワケがある

酸味を口にすると無意識のうちに口をすぼめた独特な表情になりますが、これは、唾液腺を刺激して唾液分泌を促したり、唾液を口の中に溜めたりすることで、本来、腐ったものなどを示す味である酸味を中和して洗い流すためと考えられています。
また、酸味を口にすると耳の下に痛みを感じるのは、唾液腺を刺激するときに付近の筋肉が収縮するからです。

酸味と血圧の関係

近年、酢やレモンの長期的な摂取と血圧降下との関連性が、数々の専門家から発表されています。
特に、酢の主成分である酢酸は、血圧降下のしくみがある程度判明していることから、大きな注目を集めています。
その大まかなしくみは、酢酸の代謝によって生成されたアデノシンという物質が血管壁の受容体へ結合すると、血管が拡張し血圧が降下する、というものです。

従って、酢を用いた特定保健用食品には「本品は食酢の主成分である酢酸を含んでおり、血圧が高めの方に適した食品です」という表示が許可されています。
なお、1日に摂取する酢酸の目安量は750mg程度とされていますが、これを酢に換算すると、大さじ1杯(約15ml)程度になります。

 

酸味も減塩お助け役

適度な酸味は、清涼感を与えるとともに、塩味や甘味、食材の味を引き立てて食べやすくする特徴があります。
特に、酸味の梅と、塩との組み合わせは、おいしさをもたらす基本的な要素として古来より重視され、そのバランスが良ければ互いの味が食べやすくやわらぐことから、ほどよい味に加減することを「塩梅(あんばい)」と言うようになりました。

ここでは、酢やレモン汁を、調味料などと合わせる方法を紹介します。
いずれも、焼き魚や、豚肉または鶏肉のソテーによく合いますので、ぜひお試しください。

酢(大さじ1)と合わせて・・・
レモン汁(大さじ1)と合わせて・・・

来月のテーマは、「苦味 ~おいしさの秘密~」です。