健康管理情報

肝臓の検査Ⅰ

1998年12月号
更新)
生活習慣病

皆さん、一度は健康診断を受けたことがありますよね。健康診断や人間ドックは、病気を疑われたり、治療の方針を決めるときなどに受ける検査とは別のものです。

これらの検査は、病気の発見というよりはむしろ予防のための健康管理や健康増進を本来の目的としています。 検査データは積み重ねです。何回かの検査結果から数字の変化やその背景を考えることは病気の有無を見分ける上で大切なことです。また、検査結果の読み方を知っていれば自分のデータから病気を予測することもできます。 健康のニュースは検査を通して、皆さんになじみの深い項目順に進めていく予定としております。
それでは第1回目は肝臓の検査からです。

検査の異常順位

肝臓ってどんな臓器なの?

私達は、おなかが痛くなったり、頭が痛くなったり、体に異常があると、痛みを伴った不快感を感じます。ところが肝臓は何か異常があっても、ほとんどサインがありません。
「沈黙の臓器」といわれる所以はここにあります。また肝臓は再生能力が高く、80%切り取られても元の大きさに戻る丈夫な臓器です。こうしたことから、病気の発見が遅れることがよくあります。そこで、定期的な検診が重要な役割を果たすのです。

肝機能異常を起こす病気はどんなものがあるの?

肝臓の検査ってどんなものがあるの?

みなさんになじみの深い検査は血液検査でしょう。 その中でも特に次の検査は身近で基本的なものです。

その他に、ウィルス検査(血液の検査中)や尿の検査があります。

GOT

肝臓の他、心臓や腎臓などに存在する酵素。
アミノ酸をつくりかえる働き。

GPT

主に肝臓の細胞に存在する酵素。
GPTが高い場合はほぼ肝臓に異常がある。

γ-GTP

肝臓の他、心臓や腎臓などに存在する酵素。
肝臓の解毒作用に関係する酵素。特にアルコール性肝炎で増える。

これらの酵素は肝細胞が壊れたり、変質すると血液中にもれてくるため、血液中の数値が高くなります。

総ビリルビン

黄疸のもとになる黄色の色素。胆汁の主成分。ビリルビンが、血液中に大量に流れ込むと皮膚や眼球の白目の部分が黄色く見える。

また、GOTとGPTの比率からどのような病気になっているか判断できます。

肝炎はどのように進行していくのでしょうか。次に肝炎の経過を図にしてみました。

長期にわたって病気は進行していきます。また、早期治療・早期発見では治癒率が高いことも特徴です。静かな「肝臓の叫び」に耳を傾けてください。

来月のテーマは、「肝臓の検査Ⅱ」です。