健康管理情報

腎臓の検査

1999年5月号
更新)
生活習慣病

腎臓の仕組みと働き

腎臓は腹背部の腹膜外にあり、脊椎をはさんで左右に一対あります。ソラマメ状の赤褐色をしています。腎臓一つは握りこぶし大の大きさで、重さは120~150g程度です。

腎臓の働き
  1. 血液の濾過・再吸収
  2. 体内の水分・塩分バランスの調整
  3. 血圧の調整
  4. 造血ホルモンの産生
  5. ビタミンDの活性化

※ 糸球体…毛細血管の集まりで、血液中の老廃物や異物などの不要な物質が濾過され、原尿がつくられます。
原尿は尿細管を通るときに必要な成分が再吸収され、不要なものは尿となって膀胱に送られ、排泄されます。

検査と検査値

 

検査方法
(尿の検査)
検査内容
尿タンパク・尿潜血 試験紙による検査。
通常は陰性であっても、起立・運動・発熱などで陽性になる場合もあるので、
初回の場合は再検査を要する。
尿沈渣 尿を遠心分離器にかけて固体成分を顕微鏡で調べる。
顆粒円柱や赤血球円柱が見つかると病変があると推測される。

※ 顆粒円柱、赤血球円柱…腎臓に病変があると特殊な円柱が見つかることがある。
※尿タンパクと尿糖が出ている場合は糖尿病性腎症が疑われる。
 

検査方法
(血液の検査)
基準値 検査内容
尿素窒素(BUN) 8~23mg/d1 筋肉を構成するたんぱく質の老廃物。
濾過機能が十分でないと血液中の濃度が上がる。
クレアチニン 0.7~1.2mg/d1 筋肉を構成するたんぱく質の老廃物。
濾過機能が十分でないと血液中の濃度が上がる。
尿酸 2.0~7.0mg/d1 尿酸の排泄量が少ない場合は腎臓の機能が十分でない。

血液中の尿酸値が増えることを高尿酸血症といいます。この尿酸血症は腎機能の低下だけでなく、誤った食生活などによっても起こるので、尿酸値だけで腎臓が悪いと判断はできません。
また、尿酸が血液中で針状の結晶となり、関節や皮膚に沈して、関節炎や痛風結節をつくり、激痛を伴うことを『痛風』と呼びます。

糖尿病の種類

急性腎不全の経過
経過 無尿~乏尿期 利尿期 回復期
症状 ・急激な尿量の減少
・体重増加
・尿のにごり
・蛋白尿
・むくみ
・クレアチニン、
BUNが増加し、
尿毒症症状が発現する
など
・尿量の増加
・体重減少
・脱水
・BUNの低下
尿細管の機能回復と共に原尿の再吸収が促進され、
尿量が正常になる

 

腎臓病の治療

腎臓病の治療は医師や栄養士によく相談をし、各病状に合った適切な指示を受けることが大切です。その上で、腎臓病食品交換表を活用すると良いでしょう。食事療法について、主な注意点を以下に述べます。

治療食
むくみや高血圧があるとき 

…食塩の制限

蛋白尿が高濃度で、血液中のたんぱく質が減少しているとき

…たんぱく質の増加

腎機能が低下して血液中の窒素化合物が増加しているとき

…たんぱく質の制限

尿量が減少して、無尿・乏尿になったとき

…水分の制限

以上の治療食に共通する重要なことは、エネルギーの確保です。

※腎臓病食品交換表…腎臓病食のため、たんぱく質3gを1単位として、治療の目的にそった食事ができるように工夫されたもの。一般の書店で購入できます。 

来月のテーマは、「腎臓の検査」です。