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がん(悪性新生物)とは

前立腺がんB−治療
治療
前立腺がんの治療法には、「手術療法」、「放射線治療」、「内分泌療法」、さらには特別な治療を実施せず、当面経過観察する「待機療法」があります。前立腺がんの治療方針を決めるためには、まず前立腺がんがどの位進行しているのかを検査し、進行の程度や悪性度・患者の健康状態・年齢・合併症の有無などを総合的に判断して決定します。前立腺がんの正確な病期診断には限界があるため、グリーソンスコアーや治療前のPSA値なども参考にしながら治療法が考えられています。
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前立腺がんの病期分類
触診所見、画像診断の結果などから前立腺がんの病期は決定されますが、前立腺がんの分類は複雑です。これは前立腺肥大症として手術が行われ、その結果前立腺がんが認められた場合も含めて分類するためです。
現在の分類では、前立腺がんを疑わずに検査を受け、結果的に前立腺がんが発見された場合にはT1a、bと分類され、前立腺がんを疑って検査を受けるとT1c以上の病期と分類されます。PSA値の異常のみで生検を実施し、がんが検出された場合はT1cと分類されます。T2以上は触診、あるいは画像で異常があった場合の分類となります。

T 原発腫瘍
T1 触知不能、または画像では診断不可能な臨床的に明らかでない腫瘍
  T1a 組織学的に、切除組織の6%以下に、偶発的に発見される腫瘍
  T1b 組織学的に、切除組織の6%以上を越え、偶発的に発見させる腫瘍
  T1c 針生検により確認(たとえばPSAの上昇による)される腫瘍
T2 前立腺に限局する腫瘍
  T2a 片葉に浸潤する腫瘍
  T2b 両葉に浸潤する腫瘍
T3 前立腺被膜を越えて進展する腫瘍
  T3a 被膜外へ進展する腫瘍(片葉、または両葉)
  T3b 精嚢に浸潤する腫瘍
T4 精嚢以外の隣接組織(膀胱頸部、外括約筋、直腸、挙筋、および/または骨盤壁)に固定、または浸潤する腫瘍
N 所属リンパ節  
  N0 所属リンパ節転移なし
  N1 所属リンパ節転移あり
M 遠隔転移    
  M0 遠隔転移なし
  M1 遠隔転移あり
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◆待機療法
生検の結果、活発に増殖しないタイプのがんがわずかにある程度で、とくに治療を行わなくても余命に影響がないと判断される場合に行われる方法です。PSA値を定期的に測定して、その上昇率を確認します。PSA値が倍になる時間が2年以上と評価される場合にはそのまま経過観察で良いと考えられています。特に積極的な治療を行わないため副作用も軽微ですが、がんと診断されて「特に何もしない」ことに対する精神的な負担を感じる人にはあまりこの方法は向いていません。

待機療法の目安

  • グリーソンスコアーが6かそれ以下
  • PSAが20ng/ml以下
  • 病期T1c〜T2bまでの病態
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◆手術療法
前立腺がんの根治が期待できる最も有効な手段は、がん組織およびがんが疑われる部位をすべて摘出する事です。つまり、前立腺をすべて摘出することになりますが、この前立腺全摘手術はすべての患者が受けられるわけではありません。前立腺の摘出手術は、がんが前立腺内にとどまっている状態の患者に限られます。
また、がんを摘出したつもりでも手術後に再発する事もあり、術後5年の再発率は6〜26%となっています。手術には後遺症を伴う事があるため、手術を受ける際には医師から十分に説明を受けるようにしましょう。
@前立腺全摘手術
前立腺がんの発見が早期であり、がんが前立腺にとどまっている場合には開腹による前立腺全摘手術が行われます。開腹といっても腹膜にメスを入れるわけではなく、おへその下辺りからからメスを入れ、恥骨と膀胱の間から前立腺を摘出する恥骨後式と、精巣と肛門の間からメスを入れる会陰式の二通りがあります。必要に応じて精嚢や精管肥大部、がんの転移の可能性があるリンパ節なども切除します。
この手術の後遺症として勃起障害が起こる可能性があります。これは前立腺の周辺に勃起に関わる神経があるため、手術の際に神経が傷ついて起こるものです。また、手術の際に尿道括約筋が傷つくと尿失禁が起こります。

A腹腔鏡下前立腺全摘手術
腹腔鏡下手術とは腹腔鏡と呼ばれる内視鏡で行う手術の事で、お腹を大きく切らず腹部に小さな穴を開けて手術を行うため、患者の負担が少なくてすむ手術です。
手術の際には腹腔鏡を入れるためにお腹を2〜4cm切るほか、手術器具を入れる小さな穴も3〜4ヶ所あけます。従来の開腹手術に比べて出血が少なく、手術後の回復も早いためにメリットの多い手術ですが、早期の前立腺がんでしか行えません。

B経尿道的前立腺切除術
がんがかなり進行して手術が行えない場合には患者のQOL(生活の質)を向上させるために前立腺の一部を切除する経尿道的前立腺切除術が行われます。
がんが進行して前立腺が大きくなると、尿道を圧迫して排尿障害が起こるようになり、ひどくなると尿道が塞がれて排尿が行えなくなります。そのため、尿道から内視鏡を挿入して尿道を圧迫している前立腺を取り除き、尿がスムーズに出るようにします。
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◆放射線療法
前立腺がんに対する放射線治療はさまざまな方法が登場してきています。前立腺がんに対する放射線治療には手術療法と同様に転移のない前立腺がんに対する根治を目的とした場合と、骨転移などによる痛みの緩和、あるいは骨折予防のために使用される場合があります。
<外照射法>
転移のない前立腺がんに対して、身体の外から患部である前立腺に放射線を照射します。前立腺がんに対する放射線治療では放射線の総量が多くなればなるほどその効果が高いことが知られています。この治療中の副作用としては、頻便や排便痛、出血、また膀胱への刺激により頻尿や排尿痛などが挙げられ、照射方法によっては放射線皮膚炎や下痢が生ずることがあります。

<密封小線源療法(組織内照射法)>
小さな粒状の容器に放射線を放出する物質を密封し、これを前立腺へ埋め込む治療法です。外照射法と比較して数日で治療が終了し、前立腺に高濃度の放射線を照射することが可能であり、副作用も軽度です。
この治療は前立腺内にとどまった前立腺がんの中でも悪性度が低いがんがよい適応とされています。この場合には手術療法と同様の効果が得られるとされており、それ以外の病態では密封小線源治療に外照射法と組み合わせて治療することが薦められています。
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◆内分泌療法
前立腺は男性ホルモンのテストステロンと強い関わりがあり、テストステロンの分泌を抑えると前立腺が縮小する事がわかっています。そのため、テストステロンの分泌を薬剤などによって抑制し、前立腺がんを小さくするのが内分泌治療の特徴です。内分泌治療にはいくつかの治療法がありますが、いずれもテストステロンの働きを遮断してガンの増殖を防ぐ治療法です。
<精巣除去手術>
両側の精巣を摘出することで、精巣から分泌される男性ホルモンをなくす治療法です。
最も単純な男性ホルモンの遮断法であり、手術後1〜2週間程度で血液中の男性ホルモン量が急激に減少し、効果を発揮するようになります。現在では精巣除去手術と同様の効果が得られるホルモン剤が開発されているため、精巣除去手術は減っています。

<薬剤内分泌療法>
≪抗男性ホルモン薬≫
前立腺がんを発生させる原因の1つと考えられている男性ホルモンと結びつく受容体を遮断してアンドロゲンの働きを妨げ、がんの発症を抑える抗男性ホルモン薬を用いる治療法です。抗男性ホルモン薬だけでなく、LH-RHアナログ薬と併用されることもあります。

≪女性ホルモン薬≫
男性ホルモンの分泌を抑制する女性ホルモン薬を投与することで、前立腺がんを小さくする治療法です。体内で男性ホルモンよりも女性ホルモンの働きが強くなるため、副作用として乳房が大きくなったり、心臓の血管に障害を起こすなどの恐れがあります。そのため投与には細心の注意が必要で、長期間使用することはできません。最近では副作用を軽減した治療法が開発されています。

≪LH-RHアナログ療法≫
LH-RHとは「黄体ホルモンを導くホルモン」の意味、LH-RHアナログ薬は「黄体ホルモン放出ホルモンの働きを模造した薬」を意味しています。精巣を刺激して男性ホルモンを分泌させる性腺刺激ホルモンの分泌を抑制する働きのある、LH-RHアナログ薬を注射する治療法で、精巣除去手術と同様の治療効果が得られます。
LH-RHアナログ薬は皮下注射で用いられ、持続性があるために4週間に1度の注射で済みます。最近ではさらに効果が持続するLH-RHアナログ薬の開発も進んでいます。
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◆予後
前立腺がんの予後は、全身状態、年齢、病期およびがん細胞の性質、さらには選択された治療法などにより決まります。全体として前立腺がんは進行が遅く、10年生存率はそれぞれ、前立腺内に限局している場合で手術療法を施行された場合、90%以上、放射線治療が施行された場合80%以上が期待されます。遠隔転移のある前立腺癌は転移のない前立腺癌と比較すると予後不良で5年生存率は20〜30%となっています。

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