健康管理情報

おせち ~行事食~

2007年1月号
更新)
行事食
あけましておめでとうございます。
皆様が今年も健康に過ごせますように・・・。

今年は、年間を通じて「行事食」をテーマにお送りしたいと思います。
1月は年はじめということで、正月や成人式となにかとハレの催し物が多い月です。今回はその行事についてご紹介します。

日本には正月をはじめ、3月3日の上己(ひな祭り)、5月5日の端午(こどもの日)、7月7日の七夕、など「節の日」に神様、特に農業の神様にお供えをすることを「節供」といい、これがいつのまにか「節句」となりました。その神様にお供えする料理を「せちく節供料理」をいい、これが短くなって「おせち料理」となったと言われています。正月は特に一年の初めに年の神様を迎える「ハレ」の日であることから、現在は正月のみ「おせち料理」というのが通常になりました。

「おせち料理」は年の始めにその年の豊作を祈って食べる料理や武家の祝い善、新年を祝う庶民の料理などが混ざり合って出来上がったものです。また、正月三が日は主婦を家事をしなくて済むように保存の効く食材や味付けが中心になったとも言われています。

そばにはたんぱく質がたっぷり!

おせちはめでたいことを重ねるという意味で重箱に詰めます。基本は4段重ねで、上から一の重、二の重、三の重、与の重と呼びます。詰め方や、料理の組み合わせは地域や家庭、しきたりなどによって様々です。その代表的な詰め方をご紹介します。

  • 一の重-黒豆、数の子、ごまめ(田づくり)などの祝い肴
  • 二の重-伊達巻、きんとん 甘いもの
  • 三の重-魚や海老の焼き物など海の幸
  • 与の重-野菜類の煮物などの山の幸

 

それぞれのめでたい由来は・・・

今ではあまり自宅で作られることの少なくなった「おせち」ですが家族で協力して作ったおせちで始める正月は気分のよいことは間違いありませんね。

おせち料理の意味

  • 一の重:黒豆

    黒は中国で不老長寿をもたらす色です。そこで健康を表し「まめに暮らせる(働く)ように」よいう意味がある。昔は肉を食べる風習がなかったことから、豆は植物性タンパク質の重要な摂取源でした。また、黒豆には抗酸化力のあるポリフェノールも豊富です。

  • 一の重:数の子

    にしんの卵です。にしんは古くから「かど」と呼ばれていたため「かどの子」⇒「数の子」となりました。また、にしんから多くの子が出ることと好きこととして、子孫繁栄の意味が込められています。DHAやEPA、亜鉛など多く含みますが塩漬けされているものも多く塩分に注意が必要ですし、コレステロールも多く含みますので制限が必要な方は注意が必要です。

  • 一の重:田作り(ごまめ)

    ごまめは古くから田植えをする際に肥料にしていたことから豊年、健全を祝う食べ物となりました。小さいながらカルシウムなどのミネラルを多く含み、固いことからか噛む事の少ない現代人にも大切なものです。

  • 二の重:伊達巻

    卵を使った料理は子孫繁栄の象徴とされています。語呂合わせや子孫繁栄の祈りというより色や形からおせち料理に登場するようになったようです。また、巻物に似ているので、文化発展を願う縁起ものという説もあります。

  • 二の重:栗きんとん

    黄金の塊を意味し、商売繁盛、金運をもたらすという縁起の良い食べ物です。古くは「かり栗」を用いていたことから勝運が豊かになるとされています。栗はビタミンCやビタミンB1が多く、タンパク質やミネラルも多く含まれています。

  • 三の重:海老料理

    ゆでたり焼いたりすると、えびの背が丸くなることから、腰が曲がるまで長生きできますようにという願いが込められています。殻の赤い色はアスタキチンの色で免疫力を高めたり、血中コレステロールの低下の作用が知られています。

  • 三の重:鯛

    めでたいに通じる語呂合わせです。江戸時代にはじまった七福神信仰とも結びつき、鯛はおめでたい魚として有名です。

  • 与の重:野菜の煮物

    大切りにした野菜などを鍋に入れていっしょに煮しめていく「お煮しめ」は、家族が仲良くいっしょに結ばれるという意味があります。

  • ごぼう

    細長く地中に根を張るごぼうは「一年間がんばろう」という意味が込められています。また、根菜類なので一家の土台がしっかりするようにという意味もあるようです。ごぼうは食物繊維だけではなく、オリゴ糖も含めれており腸内環境を整える働きもあります。

  • れんこん

    仏教の仏様のいる極楽の池にあるといわれ、けがれのない植物とされています。また根に穴があるので、見通しがよいという意味もあります。

  • さといも

    親いもになると根元に小いもがたくさんできることから、子だくさんを願うお祝い事に使われます。

おいしいレシピ

1月は何かと行事の多い月です。昔は1月15日が成人の日となって元服を祝う儀式などがありました。また、この1月15日は小正月でこの日に餅とあずきを入れた粥を食べ、その一部を残して18日に食べると夏、毒虫に刺されないという言い伝えがあります。さらに、赤い色のものを食べると邪気が払われると言われ、小正月にあずき粥を食べると1年間の邪気が払われるといわれています。
餅入りあずき粥
材料 (4人分)
  • お米 ……1/2カップ

  • あずき ……50g

  • ……4個

  • あずきのゆで汁と水 ……7カップ

  • ……少々

作り方

  1. 1

    <下準備:あずきをゆでておく>  あずきをきれいに洗っておく。

  2. 2

     4倍程度の水で火にかけ沸騰させる。(1~2分)

  3. 3

     最初の煮汁を捨て、新しく4倍程度の水を加え30分程度弱火でゆでる。

  4. 4

     八部通り(指でつぶすと弾力がありつつつぶれるくらい)火が通ったら、あずきのゆで汁を残すためにザルの下にボール等をあて、あずきを開ける。

  5. 5

    <粥の作り方>

  6. 6

     米は洗っておく。

  7. 7

     ゆで汁と水を加え7カップになるようにし、なべに入れる。

  8. 8

     分量の水の入ったなべに米とあずきを入れ、強火にかける。

  9. 9

     軽く煮立ったら、ふきこぼれないように火を弱めて、30~40分ゆっくり炊いていく。

  10. 10

     味を確認し、塩で味つける。

  11. 11

     粥は5分ほど蒸らしておく。

  12. 12

     餅は直前に焼く。(焼き色をつけるといっそうおいしそうに見えます。)

  13. 13

     粥を盛り付け、上に餅をのせる。

来月のテーマは、「節分 ~行事食~」です。