生活習慣病を予防する特定非営利活動法人 日本成人病予防協会
長く続いた夏の暑さが徐々に落ち着き、屋外でも運動しやすい気候になってきました。前回の記事でもご紹介しましたが、秋は代謝が上がりやすい季節です。有酸素運動は、健康維持や体型維持、睡眠の質向上にもよい影響を与えます。今回は、有酸素運動の効果をさらに高めるためのポイントついてご紹介します。
有酸素運動とは、ウォーキングやジョギング、サイクリング、水泳などのように、体内に酸素を取り込みながら、継続的に比較的軽い負荷をかける運動を指します。酸素を使って、体内に貯蔵されている体脂肪を燃焼し、長時間無理なく継続できる強度の運動が該当します。筋肉への負荷は多くないものの、継続的に行うことで心肺機能の向上や体脂肪の減少が期待できます。
一方、無酸素運動とは、短距離走や筋肉トレーニングのように、酸素を使用せず短時間で瞬間的に強い負荷をかけて行う運動を指します。主に糖質をエネルギー源とし、瞬発力や筋肉量の増加、基礎代謝量の向上が期待できます。
秋になり空気が澄んで、涼しく心地よい気候であるため、ウォーキングやジョギングが行いやすくなります。そして、自然の中での運動は、解放感があるためリフレッシュ効果があり、ストレスの軽減にもつながります。
また、秋は気温の低下により体温を維持する働きが亢進するため、基礎代謝が上昇します。加えて、有酸素運動を行うことにより、心肺機能を向上させ全身の血流を促進し、脂肪を燃焼する能力が高まることで、基礎代謝の向上が促されます。
基礎代謝とは、人が何もせずに安静にしていても、呼吸や体温調節といった生命維持するために必要な最低限消費するエネルギーことで、無意識のうちに消費されるエネルギーのことを指します。基礎代謝は、1日に消費するエネルギーの半分以上を占めているため、適正体重を維持するためには、消費カロリーだけでなく基礎代謝にも注目することが大切です。さらに、筋肉量によっても基礎代謝量は変動するため、筋肉量を増やすことによって基礎代謝も高まり、健康的な体型を維持しやすくなります。
<体型維持など脂肪燃焼を目的とする場合>
起床後1~2時間は、体内の血糖値が低く、脂肪がエネルギー源として使われやすくなる可能性があります。また、朝運動を行うと1日の消費エネルギーを増やし、代謝を上げる効果も期待できます。朝食前がおすすめですが、極度の空腹状態で行うと集中力の低下やケガ、立ちくらみを起こす恐れがありますので、炭水化物を中心とした軽食を摂ったり、運動強度にも注意しましょう。
<睡眠の質UPが目的の場合>
夕方から寝る4時間頃前に、軽く汗をかく程度に行うのがおすすめです。睡眠の質を高めるためには、一時的に深部体温を上げ、この温度が下がることが大切です。深部体温とは、脳や臓器など体の中心の温度のことで、睡眠ホルモンのメラトニンが分泌されると、深部体温が低下し、体を休息に適した状態に導き、眠気を促します。
有酸素運動だけでももちろん効果はありますが、その前に筋トレを行うと相乗効果によって、より効率よく有酸素運動の効果を得ることができるといわれています。
筋トレを行うと物理的なストレスであると体は判断し、交感神経が活性化します。その結果、視床下部が刺激され、成長ホルモン分泌のキッカケとなります。
成長ホルモンには、成長に必要な骨やタンパク質の合成促進する働きだけでなく、脂肪細胞に蓄えられた中性脂肪を分解し、エネルギー源として利用されるように促す作用があります。つまり、成長ホルモンによって脂肪を分解し血中に脂肪酸として放出された状態となります。そして、その後、有酸素運動を行うことで、その放出された脂肪酸を効率よくエネルギー源として使いやすくなると考えられます。
筋トレと聞くとハードなものをイメージされるかもしれませんが、継続的に行い習慣化することが重要です。ここでおすすめしたいのが「ながら筋トレ」です。
日常生活の中で、〇〇しながら行う筋トレをご紹介します。ポイントとしては、できるだけ姿勢正しく行うことが大切です。