生活習慣病を予防する特定非営利活動法人 日本成人病予防協会
今回は、毎年冬に大流行する『インフルエンザ』について、知っているようで知らない風邪との違いや特徴、そして、感染予防のポイントまでQ&A形式でご紹介します。

▽この記事で分かること
・インフルエンザと風邪のちがい
・インフルエンザは冬限定?夏は存在しないのか
・インフルエンザは空気感染しない
・インフルエンザに罹りやすい人の特徴は?
・なぜワクチンを毎年打つ必要があるのか
A1.
症状が似ていて一見分かりにくい場合もありますが、インフルエンザの典型的な症状は、風邪よりも症状が急激に進行し、上気道症状だけでなく全身倦怠感や関節痛などといった全身症状が強く出るのが特徴です。
| 風邪 | インフルエンザ | |
|---|---|---|
| 流行時期 | 季節は問わず 通年 | 11~3月頃に流行 |
| 原因 | 不特定多数のウイルス(ライノウイルス、アデノウイルス、コロナウイルスなど) | インフルエンザウイルス |
| 主な初期症状 | 喉の痛み、くしゃみ、鼻づまり、鼻水など | 咳、喉の痛み、鼻水、全身倦怠感、悪寒、震え、頭痛、筋肉痛、関節痛など |
| 症状の進み方 | ゆっくり | 急激 |
| 発熱 | 3~7日程度 | 高熱(38℃以上) |
| 完治までの期間 | 3~7日程度 | 7~10日程度 |
風邪インフルエンザ流行時期季節問わず通年11~3月頃に流行原因不特定多数のウイルス(ライノウイルス、アデノウィルス、コロナウイルスなど)インフルエンザウイルス主な初期症状喉の痛み、くしゃみ、鼻づまり、鼻水など咳、喉の痛み、鼻水、全身倦怠感、悪寒、震え、頭痛、筋肉痛、関節痛など病状の進み方ゆっくり急激発熱ないまたは、微熱(37~38℃)高熱(38℃以上)完治までの期間3~7日程度 7~10日程度
Q2.インフルエンザが流行するのは冬だけ?
A2.
No。実はインフルエンザウイルスは1年通して存在しています。日本では、冬に大流行しますが、それには湿度が大きく関係しています。インフルエンザウイルスは、低温低湿度を好むという特徴があります。秋冬は空気が乾燥することで、咳やくしゃみなどの飛沫に含まれる水分が蒸発して軽くなり、空中を漂いやすくなります。さらに、乾燥によって喉や鼻などの粘膜のバリア機能も低下しやすくなるためウイルスが侵入しやすくなります。また、冬は寒さによって換気を控えたり、屋内の密閉空間に集まる傾向があることも感染が広がりやすくなる理由の一つだと考えられます。しかし、夏であっても夏バテや睡眠不足など、免疫力が落ちていると感染することもあります。
Q.3インフルエンザは空気感染する?
A3.
No。満員電車など不特定多数の方が集まる場所で、空気感染すると思っている方も多いのではないでしょうか。しかしながら、実はインフルエンザの主な感染経路は「飛沫感染」と「接触感染」が中心で、空気感染は極々まれです。飛沫感染 感染者の咳やくしゃみ、会話などで飛び散ったウイルスを含んだ飛沫を近くにいる人が口や鼻から吸い込むことで感染します。飛沫は、1~2m程度飛散するといわれています。接触感染ウイルスが付着したドアノブ、手すり、スイッチ、つり革などに触れ、その後、その手で口や鼻、目を触ることでウイルスが粘膜から侵入して感染します。
ちなみに、飛び散った飛沫の水分が乾燥して空気中を漂うこともあり、それを吸い込んでしまうことにより感染することを「空気感染」といいます。空気に流れによって拡散され、広範囲で感染のリスクを伴います。
Q.4インフルエンザに罹りやすい人の特徴は?
A4.
個人の免疫力の違いです。一度、ウイルスが体内に侵入すると急激に増殖しますが、無症状や軽症で済む人もいます。免疫力は生まれながら備わっている生体防御機能ですが、生活習慣を見直すことで向上させることができます。
感染予防のポイント手洗い・うがいを行う
外出後、食事の前、咳やくしゃみをした後など、石けんを使用し指の間や手首までしっかりと洗い、その後うがいを行います。実は、この順番も重要です。手に付いた見ないウイルスや菌が付いた手で、コップなどに触れると口の中に入るリスクが高まるためです。
<正しい手の洗い方>

マスクの正しく着用する
咳やくしゃみなどで飛沫を飛散させないために咳エチケットとしてマスクを着用しましょう。さらに、飛沫の吸い込み防止にもつながります。また、着用する際には、鼻の上から顎の下まで覆うように密着させましょう。外す時は、耳掛け部分を持って、ゴミ箱に直接廃棄しましょう。
免疫力を向上させる生活習慣
①バランスの取れた食事を心掛ける
特に、体の土台となる良質なタンパク質や腸内環境を整える食物繊維や発酵食品などを組み合わせるようにしましょう。
②睡眠の質を意識しましょう良質な睡眠は、疲労の回復、ストレス解消、そして免疫力の維持・向上のために非常に重要です。睡眠の質を高めるためには、1日の行動の見直すことが効果的です。・朝起床後、朝陽を浴び、朝食にはメラトニンの材料となる「タンパク質」を意識して摂りましょう。・夕食は就寝前2~3時間前までに済ませ、入浴は就寝1時間前までに、38~40℃の「ぬるめの湯温で20分程度、湯舟に浸かりましょう。」・就寝2~3時間前から睡眠の質を妨げるブルーライトを浴びないために、デジタル機器の使用を控えたり、ブルーライトカット機能を使用しましょう。
③適度な運動を行いましょう息がはずみ、軽く汗をかく程度の適度な運動は免疫力の向上につながります。しかし、激しい運動はかえって体内の活性酸素を増やしてしまい、酸化ストレスとなってしまうので強度に注意しましょう。・買い物に自転車を使っていた場合には、徒歩に変えるなど手軽なことから始めてみましょう。・目安は1回20分程度を週3回、もしくは1回30分を週2回程度で、1週間あたり合計60分程度を目標に継続的に行いましょう。
④水分補給をこまめに行いましょう目や口、鼻などの粘膜の表面には、免疫防御機構があり、粘膜が乾燥すると免疫防御機能が低下しやすくなります。冬場は特に、気温が下がり水分補給が少なくなるため、こまめな水分補給を心掛けましょう。