生活習慣病を予防する特定非営利活動法人 日本成人病予防協会
頭痛は、誰もが日常的に経験する症状の1つですが、例えば数日痛みが続いたり、いつもと何か違ったりしたときに、不安になることもあると思います。そこで今回は、危険な頭痛とそうでない頭痛について、症状や特徴、原因などをご紹介します。
頭痛は、頭痛が主症状であって脳自体に異常がなく、放っておいても心配のない「一次性頭痛」と、脳などに明確な異常があり重大な病気の症状の1つとして現れ、治療をしなければ命に関わることもある「二次性頭痛」に分けられます。
本人の不快感や日常生活への影響を別として、頭痛の約8割は心配のない頭痛(一次性頭痛)であるといわれています。

長時間同じ姿勢を取ることや運動不足、ストレスや寒さなどのさまざま要因によって、筋肉の緊張・収縮が続くことで起こります。
入浴やマッサージ、軽い運動やストレッチなどで、血行を良くして筋肉をほぐすと良いでしょう。また、正しい姿勢を取って、ストレスをためないように気をつけましょう。
頚肩腕症候群(肩こり・首こり)
いわゆる肩こりと首こりが重症化した状態で、レントゲン検査などでは異常がみられず、四十肩などの良く似た病気ではないことが確認された「除外診断」にあたります。
長い間、首筋から肩にかけての筋肉が緊張していると、腕や背中まで痛んだり、筋緊張性頭痛や後述の頚性頭痛が起こったりします。症状は、首から肩までの筋肉のこりや押したときの痛み、力の入りにくさ、血流の悪さから腕などを冷たく感じることです。原因は、長時間同じ姿勢でいることや運動不足、ストレスで、予防・解消法としては、同じ姿勢を取り続けないことや、固まっている部分を温めて血行を良くすること、適度な運動が効果的です。

境の変化などによって起こります。また、アルコール、コーヒー、チョコレート、ナッツなど、血管を拡張・収縮させる作用のある食べ物や飲み物が原因となっていることもあります。
分な睡眠をとり、ストレスをためないように心がけましょう。特定の食べ物や飲み物を摂取したあとに頭痛が起こるようであれば、摂取しないようにしましょう。
・気象病・天気痛
気象病とは、天気や気圧の変化などで、頭痛や耳鳴り、だるさや眠気などの症状が起こることをいい、頭痛のなかでも、筋緊張性頭痛、片頭痛、後述の群発頭痛を引き起こすといわれますが、最も多いのが片頭痛で、悪天候の前後に、ズキズキと脈打つような強い頭痛が起こります。対策は、蒸しタオルなどで耳まわりを温め、耳をマッサージすることが有効です。

原因はまだ解明されていませんが、頭痛発作時に目の奥の血管が拡張していることや、発作が起こる時間の偏りから、自律神経やホルモン分泌といった体内時計との関連が疑われています。
発作は、過労やストレス、睡眠不足や気圧の変化、飲酒、喫煙、特定の食べ物や飲み物によって誘発されやすいです。
十分な睡眠をとって、疲労をためないようにしましょう。また、飲酒や喫煙を控えることも予防に効果的です。
頭痛持ちの人が薬を乱用することで起こります。非ステロイド性鎮痛薬や、エルゴタミン、トリプタンといった鎮痛薬を多用することで起こりますが、市販のイブプロフェンやロキソプロフェンといった鎮痛薬を自己判断で多用することでも起こります。鎮痛薬を多用すると、痛みに敏感になるため、わずかな刺激であっても痛いと感じるようになってしまいます。
※「国際頭痛分類」では二次性頭痛に分類されていますが、もととなる病気が一次性頭痛のため、一次性頭痛に記載しています。
医師の指導のもと、鎮痛薬の服用を中止します。中止して1~2週間は特につらく、強い頭痛や、不安感や不眠などの離脱症状が起こりやすいですが、薬の服用は漢方薬や抗うつ薬などの予防薬にとどめて、鎮痛薬は服用しません。
※離脱症状などがあるため、自己判断で薬の服用を中止することは非常に危険です。必ず医師の判断のもとで行いましょう。
自分の頭痛がどれに当たるのか、はっきり分からない場合は、頭痛ダイアリーをつけましょう。頭痛が起こった時間や状況、どのような痛みがどれくらい続いたかなど、なるべく詳しく記録しておくと、病院を受診する際も役に立つのでおすすめです。
また、筋緊張性頭痛や片頭痛、頚肩腕症候群は、症状の重なりが多いです。自分の頭痛がどれなのか判別できない場合は、痛みが両側と片側どちらに起こるかという点で、ある程度判断できますが、それでも分からないときは、予防・解消法などに類似があるため、できることから取り入れてみてましょう。
緊急の治療が必要な頭痛は、大抵の場合、重い病気の症状の1つとして現れ、頭痛以外にも病気らしい症状を伴うことが多いです。
脳卒中の一種で、脳動脈瘤といわれる血管のふくらみが、突然破裂することで起こり、脳をおおう3種類の膜である、硬膜、くも膜、軟膜のうち、くも膜の下に出血が広がります。脳卒中全体の5~10%と多くはありませんが、大量に出血しやすいため、命の危険があります。喫煙習慣、高血圧、過度の飲酒との関連が報告されています。

バットで頭を殴られたような激しい痛みが、突然後頭部に起こります。ただし、出血が少ない場合は軽い頭痛が起こる程度で、風邪と間違われることもあります。もし片頭痛に似た原因不明の頭痛が数日から数週間続くようであれば、検査を受けることが望ましいです。
吐き気や嘔吐が起こります。中程度以上で意識消失もみられます。
脳内の血管が破れて血液があふれ、その血液が固まってできた塊が、脳細胞を圧迫して破壊することで、意識障害や言語障害などが起こります。主な原因は高血圧です。

突然頭痛が始まり、短時間で悪化します。
吐き気や嘔吐、意識障害、運動麻痺、めまい、言語障害など、出血の起こった部位によって症状が異なります。
脳に腫瘍(突然変異した細胞の塊)が発生して、頭蓋内圧が上昇すると、脳の周囲の膜や血管にある痛覚受容器が圧迫またはけん引されるため、痛みが起こります。

慢性的な頭痛で、しだいに激しくなります。頭蓋内圧が上昇すると痛みが強くなるため、せきをしたときや、力んだとき、体位を変えたときに痛みやすく、また、朝方に特に痛みます。
脳腫瘍の三大症状として、頭痛のほか、嘔吐、うっ血乳頭が挙げられます。また、目のかすみ、視力低下、けいれん発作、軽い麻痺などが起こります。
頭をぶつけるなどして硬膜の静脈が切れて出血し、硬膜の下に少しずつ血液がたまっていきます。たまった血液量が少ないうちは気がつきませんが、だんだん痛みが強くなっていきます。

高齢者に多くみられ、飲酒習慣のある人や高血圧の人、血液が止まりにくくなる薬を飲んでいる人はリスクが高いです。頭を打つなどして、頭にけがをしたあと、数週間から数ヶ月たってから、鈍い頭痛を感じるようになります。ただ、必ずしも頭のけががきっかけで起こるわけではなく、急な認知症の進行で病院を受診したら見つかったということもあります。
言葉の出にくさなどの認知機能の低下や手足の運動麻痺、尿失禁などが起こります。
髄膜炎は髄膜に、脳炎は脳自体に炎症が起こる病気です。主に細菌やウイルスに感染することによって起こります。

髄膜炎の頭痛は、頭全体をおそう痛みがだんだんひどくなり、強い頭痛が1週間以上続きます。脳炎の頭痛は、急激に悪化して、激しい痛みが続きます。
髄膜炎は、高熱やかぜのような症状、吐き気、嘔吐、光過敏、首の硬直を伴います。
脳炎では、急激な高熱やかぜのような症状、意識障害、異常行動、けいれん、首の硬直が起こります。
緑内障にはいくつかの種類がありますが、急性発作が起こるのは「閉塞隅角緑内障」です。この緑内障は、目の中を満たす房水の出口である隅角が狭くなったり、ふさがったりすることで眼球内部の圧力が異常に高くなり、目と脳をつなぐ視神経が傷つくことで起こります。放っておくと数日で失明する恐れもあります。

前頭部が激しく痛み、痛みが数日間続きます。
目の奥の激しい痛みや目のかすみが起こり、電球の周りに虹がみえたり、視力が低下したりします。また、吐き気や嘔吐を伴うこともあります。
首すじや背中の骨の関節に異常が生じて、脊髄や脊髄から出ている神経が圧迫されることで頭痛が起こります。特に、椎間板ヘルニアや変形性関節症、むち打ち症の人に起こりやすいですが、ストレートネックの進行によって首の骨(頚椎)が変形するなど、姿勢の悪さによっても起こり得ます。「国際頭痛分類」上で二次性頭痛に分類されていますが、緊急性は低いです。

慢性的に続くことが多い傾向にあります。
首の後ろ(通常は片側)や首と同じ片側の後頭部から前頭部(こめかみや目の奥)までが痛む、首まわりがこわばり、可動域が狭くなる、肩や腕、肩甲骨の内側にまで痛みが広がるほか、手足のしびれ、脱力感、ふらつきを伴うこともあります。
首まわりを温めて血行を良くしましょう。また、長時間同じ姿勢を取らないようにして、ストレッチなどで身体をほぐしましょう。
次のような場合は、自己判断せずに医師の診察を受けましょう。
| 質問 | はい | いいえ |
|---|---|---|
| 頭痛の直前に光がチカチカ見える | -3 | +1 |
| 頭痛のとき、いつも肩こりがある | +3 | 0 |
| 頭のうしろ(ぼんのくぼ)に鈍痛が起こる | +3 | -1 |
| 頭の右あるいは左だけが痛くなる | -2 | +2 |
| 頭痛とともに嘔吐することが多い | -2 | +1 |
| 頭痛の間、光がまぶしい | -2 | 0 |
| 合計 |
| 合計得点 | 頭痛のタイプ |
|---|---|
| +5以上 | 緊張型頭痛 |
| +4~+3 | 緊張型頭痛の疑いあり |
| +2~-2 | 精密検査が必要 |
| -3~-4 | 片頭痛の疑いあり |
| -5以上 | 片頭痛 |
来月のテーマは、「胸痛 -気になるからだの危険信号 痛み-」です。