健康管理情報

耳鳴りはなぜ起こる?音の種類から考えられる病気や対策をご紹介

2001年3月号
更新)
気になるからだの危険信号

かつて、ベートーベンは激しい耳鳴りで苦しんだといわれています。耳鳴りのほとんどは第三者には聴こえず、また、人によって感じ方も違うため、そのつらさを他の人が理解することは難しいです。しかし、本人にとっては、たとえ生命に危険がなくても、耐えがたい苦痛となりうるのです。

聴覚の仕組み

人間は、空気中を伝わる振動を耳で音としてとらえ、それを脳に伝えて認識しています。耳は、外耳、中耳、内耳の3つに分けられますが、この3部分すべてが聴覚に関係しています。

耳鳴りの原因

耳鳴りの主な原因は難聴で、全体の80~90%を占めています。難聴があると、聞こえにくい音をなんとか聞き取ろうと脳が感度を上げるため、音に対して脳が過敏に反応し、実際には無音でも音として感じ取ってしまいます。

 

耳鳴りの種類と病気

耳鳴りには、さまざまな音の種類があり、音の種類から原因となる病気が推測できることがあります。ただし、音の感じ方には個人差も大きいため、以下の説明に当てはまらないこともあります。

高音域:せみの鳴き声のような音(シーンシーン)、ピー、チー
突発性難聴

40~60歳に多く、ある日突然、片耳だけ(まれに両耳)全く聞こえなくなったり、特定の高さの音が聞き取りづらくなったりします。原因は不明ですが、ストレスや過労、睡眠不足、糖尿病などでリスクが高まります。発症後1週間以内の治療が望ましいため、耳鳴りやめまい、吐き気、片耳だけ聞こえない、耳の詰まった感じなどの症状があれば、すみやかに耳鼻科を受診しましょう。

騒音性難聴・音響外傷

騒音性難聴は、職業性難聴とも呼ばれ、仕事で長年、工場の機械音や工事音といった騒音にさらされ続けることで起こる難聴です。音響外傷は、コンサートやライブ会場などの大音量の音でも起こりますが、イヤホンやヘッドホンで大きな音を聴き続けることでも起こります(ヘッドホン難聴)。
どちらも騒音によって、内耳の蝸牛にある有毛細胞が傷つき壊れることで難聴となりますが、一度傷ついた有毛細胞は元には戻らないため、耳栓を利用したり、イヤホンの音量を下げたりするなど予防が大切です。

老人性難

加齢によって内耳から脳の聴覚神経にかけての神経細胞が減少することで起こり、両耳に同程度の難聴がみられます。高音域の音から聞き取りづらくなり、また、聞こえた音を言葉として認識する能力も衰えていきます。

中毒性(薬剤性)難聴

アミノグリコシド系抗菌薬(注射薬)や白金製剤、サリチル酸剤やループ利尿剤など、薬の副作用によって蝸牛神経が障害されて両耳に難聴が起こります。まれな副作用なので、過剰におそれる必要はありませんが、異常があればすぐに医師などに相談しましょう。

メニエール病

内リンパ水腫といって、内耳のむくみが原因で起こる病気で、ほとんどの場合、片耳にみられます。3050歳代の女性に多く、過労や睡眠不足、ストレス、悪天候などをきっかけとして発症します。耳鳴りや難聴、回転性のめまいを繰り返すことが診断基準の1つで、低音域の耳鳴りが起こることもあります。

聴神経腫瘍

聴神経を包むシュワン細胞から発生する良性の腫瘍で、転移はしませんが、腫瘍が血管を圧迫して血流が悪くなるため、片耳に難聴や耳鳴りが起こります。腫瘍が大きくなると、顔面のしびれや歩行障害、意識障害なども起こります。

そのほか(自律神経失調症など)

高血圧や動脈硬化、糖尿病、貧血、自律神経失調症など、さまざまな病気が原因で、内耳の血流が悪くなると耳鳴りが起こります。

低音域:ブーン、ゴー、ザー
急性中耳炎

鼓膜の奥の、中耳の粘膜に細菌が感染して炎症が生じ、分泌された膿が中耳内にたまって鼓膜を圧迫します。特に子どもに多くみられ、発熱や耳の痛み、難聴、耳垂れを伴います。

真珠腫瘍中耳炎(慢性中耳炎)

慢性中耳炎の一種で、鼓膜の一部が中耳側に入り込み、袋状のものを形成して、その中に皮膚のアカがたまる病気です。真珠のような見た目をしていて、周囲の骨を溶かしながら大きくなっていきます。いやな匂いの耳垂れや耳の痛み、難聴を伴います。

滲出性中耳炎

幼児や高齢者に多くみられ、粘膜組織からにじみ出た液が耳管から排出されず、内耳にたまって鼓膜がうまく振動しない病気です。難聴や耳の詰まった感じ、自分の声が耳に響くなどの症状が起こります。

耳硬化症

耳小骨のうち、一番奥にある「あぶみ骨」が硬くなって振動しなくなることで難聴が起こり、徐々に進行します。両耳に発生することが多く、耳の詰まった感じやめまいを伴うこともありますが、手術で劇的に改善する病気です。

拍動性:シャー、ドクドク、ヒュンヒュン

これまで説明した耳鳴りは、本人にしか聞こえませんが、心臓の音と同じリズムで聞こえる拍動性の耳鳴りは、聴診器を当てると第三者も聞くことができます。この耳鳴りは、脳梗塞や脳出血の前兆であったり、先述の脳腫瘍による血管の圧迫が原因となっていたりすることがあるため、すみやかに脳神経外科などで精密検査を受けましょう。

耳鳴りが起こったら…

月に一度くらいの頻度で510秒くらいの耳鳴りであれば、ほぼ心配はいりませんが、数時間続いたり、たびたび起こったりするようであれば、きちんと検査を受けることが望ましいです。

耳鳴りのある人は、以下のことに気をつけましょう。

  • 栄養バランスの良い食事をする(特にビタミンB16や鉄分の不足に気をつける)
  • 規則正しい生活を送り、睡眠時間を確保する
  • ストレスをうまく解消する
  • 騒音のある場所をさける
    (騒音のある場所で働いている人は、耳栓をする)
  • 耳鳴りが気にならないように、テレビをつけたり、音楽を流したりして、部屋が無音にならないようにする

また、耳鳴りの原因が、内耳の血流の悪さにある人は、マッサージをしたり、耳を温めたりして、血流を改善することが有効です。最近は、さまざまな耳を温めるグッズが販売されているので、活用しましょう。

おすすめセルフケア:耳マッサージ

耳をつまんで、上下左右に軽く引っ張ったり、回したり、押したりして、耳がほんわりと温かくなったら終わりです。1日3回を目安に、耳をさわって冷たくなっていたら、再度行いましょう。
※耳は繊細なので、強くマッサージすることはさけてください。

 

耳鳴りは、原因となる病気によりますが、完治しないことも多いです。しかし、生活習慣などを見直すことで症状を軽くすることはできるので、上手につきあって、耳鳴りを気にせず生活できるように努めましょう。

来月のテーマは、「吐き気 -気になるからだの危険信号-」です。

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