健康管理情報

昼寝(パワーナップ)の効果とは?最適な時間や長さは?

2010年2月号
更新)
ストレス解消法

スペイン・イタリア・南フランスなどでは、「シエスタ」といい昼食後に長い休憩をとる習慣があり、家で昼食を食べた後2~3時間昼寝をして夜遅くまで活動します。実は、昼寝にはパフォーマンスを向上させるなどの効果が認められていて、近年、日本でも昼寝をするための「昼寝サロン」が登場したり、昼食後20分程度の仮眠を推奨している学校があったりもします。

以前は、昼寝といえば「さぼり」のイメージがありましたが、実は仕事の効率を上げるなど効用が認められ、最近では、短時間の昼寝をパワーナップと呼んで、積極的に取り入れている企業もあります。
今回は、昼過ぎの眠気のメカニズムや昼寝の効果について紹介します。

 

なぜ昼食後は眠くなる?

昼食後の眠気の原因は、大きく分けて2つあります。

レプチンの作用

食事をするとレプチンというホルモンが分泌されます。消化吸収を促し、脳の働きを抑えるため、眠気が起こります。

体内時計の影響

体内時計とは、生物のもつ約24時間周期のリズムをつくる仕組みのことで、血圧や体温などをコントロールしています。眠気の起こる時間も、この体内時計で決まっていて、夜中の2時から4時と、14時から16時に眠くなるようになっています。ただ、個人差もあるので14時に眠くなる人もいれば、15時や17時頃が1番眠いという人もいます。ちなみに、この場合の眠気は、食事を摂るタイミングや睡眠不足とは関係がありません。

 

昼寝の効果

疲労回復できる

脳は、睡眠中に、脳内の老廃物の洗い流しや、疲労回復、記憶や感情の整理などを行っています。現代社会において、起きている間は膨大な量の情報と接するため、脳が疲労しやすい環境にありますが、昼寝は脳の疲労を回復して、集中力や認知機能を高めてくれます。また、脳以外も、睡眠中に細胞の修復などを行っているため、身体全体の疲労を回復することができるのです。

リフレッシュできる

人は誰しもさまざまなストレスを抱えていますが、昼寝はリフレッシュに最適です。眠ると、一時的であってもストレス源から完全に切り離されるため、短時間でストレスを解消してリフレッシュすることができます。ちなみに、目を閉じるだけでも効果があります。

ミスを防ぐ

昼過ぎは注意力が落ちて、ミスが増えやすい時間帯です。実際、社会人を対象としたアンケートでも、ミスが1番起こりやすいと感じる時間帯は14~16時という結果でした。昼寝をすると注意力が維持されるため、仕事のミスが減って作業効率も上がります。

記憶が定着する

人は、寝ている間に学習したことを脳の「短期記憶」という場所から「長期記憶」へと整理することで記憶を定着させているため、昼寝をすることで、午前中に学んだことを効率良く覚えることができます。また、最新の研究で、短時間の昼寝は、新しい情報を吸収しやすくなるように脳を整えてくれることが分かっています。そのため、昼寝をすることで、午後の学びの質を向上させることができます。

病気を予防する

30分以内の昼寝は、心血管疾患や高血圧、アルツハイマー型認知症のリスクを下げてくれます。しかし、毎日1時間以上の昼寝は、心血管疾患や高血圧、肥満や糖尿病のリスクを上げてしまうため、注意しましょう。

 

年齢によって異なる昼寝の効用

年齢によって、昼寝の果たす役割は異なります。赤ちゃんは1日に何度も寝たり起きたりしますし、保育園などにはお昼寝タイムがありますが、小学校にはありません。成長する過程で、昼寝が必須ではなくなるものの、どの年代においても良い効果をもたらしてくれます。

 

赤ちゃん

赤ちゃんは、生後1か月程度までは昼夜問わず、短い周期で睡眠と覚醒を繰り返し、1日の約7割を眠って過ごします。生後3か月程度になると、日中は1~2回の昼寝のほかは起きていて、夜間にまとめて眠るようになっていきます。

この時期は、新しい情報にふれるたびに神経回路がつくられていくため、長い昼寝をして脳を休ませる必要があります。また、睡眠中に成長ホルモンが分泌されて、体の組織や骨が形成されていきます。

 

子ども

幼児は、徐々に昼寝が必須ではなくなりますが、昼寝をすることで、体力が回復して午後もたくさん遊べたり、成長ホルモンが分泌されて新陳代謝が促されたりします。小学生から高校生では、学ぶことや覚えることが多くなりますが、学校での学習のほかに、部活動や塾などの習い事もあるため、疲れが溜まりやすい環境にあります。昼休みなどに昼寝をすると疲労が回復して、午後も意欲的に活動できます。また、昼寝は、記憶を定着させたり、新しい情報を吸収しやすくなるよう脳を整えてくれたりするので、学習効率が高まります。

成人

成人は、たいていの場合、昼寝をしなくても日中を過ごすことができますが、午後に集中して行いたい仕事があるときや、ストレスがかかっているとき、睡眠が足りていないときなどは、昼寝を取り入れると、効率良く仕事ができます。

 

高齢者

加齢とともに脳の機能が衰えるため、深い眠りが減って、浅い眠りの時間が長くなります。そのため、起きていても眠く、眠ってもすぐに目が覚めるというメリハリのない状態になります。

高齢者の昼寝は、夜間の睡眠不足を補うことができるため、疲労を回復させて、午後を快適に過ごすことができます。脳がリフレッシュされることで、集中力や記憶力などの認知機能が一時的に向上するだけでなく、30分以下の昼寝によって、アルツハイマー型認知症のリスクが1/5まで低下することが分かっています。

また、67歳以上の高齢者が、13時から30分の昼寝をすると、夕方の居眠りが減少して、夜間の中途覚醒が減少したという研究もあるので、もし、夜間にうまく眠れないという人は、早めに昼寝をして、夕方に散歩をするなどして身体を動かすことがおすすめです。

上手に昼寝をする方法

オフィスワーカーは、会議室など、仕事から離れられる環境で眠ることが理想ですが、難しい場合は光や音を少し遮るように工夫しましょう。鳥のさえずりや川のせせらぎなどのノイズ、人の声の入っていない音楽を流すのもおすすめです。
体勢は、横になると熟睡してしまう可能性が高いため、椅子にもたれた状態が良いでしょう。

 

昼寝の時間帯

正午から15時頃が望ましいです。16時以降の昼寝は夜間に眠れなくなってしまう可能性があるため、避けましょう。

時間は15~20分

昼寝の効果を最大限引き出すには、20分前後が理想的です。長くても30分までにしましょう。それ以上長い時間眠ってしまうと深い睡眠にまで入ってしまい、目覚めても頭がぼーっとしたり、だるさが起こったりします。

昼寝前にはコーヒー

昼寝のあと、ぼーっとしてしまうのが心配な場合は、昼寝をする前にコーヒーや緑茶など、カフェインの入った飲み物を飲んでみましょう。そうすると、20分程度でカフェインの覚醒作用が効きはじめるため、目覚めやすくなります。

 

昼寝で眠気が取れないときは・・・

もし20分程度の昼寝で、全然眠気が取れないのであれば、夜間の睡眠時間が足りていないか、睡眠時無呼吸症候群など何らかの病気が隠れている可能性もあります。一度生活習慣を見直し、それでも改善しなければ病院へ行きましょう。

 

建設現場で働く人は、体力仕事であることと、些細なミスが事故につながる可能性があることから、昼寝が日課となっているそうです。また、最近は、立ったまま寝られる仮眠ボックスが登場するなど、職種を問わず、仮眠へ関心が寄せられています。
昼寝は、ストレスの多い現代人の新常識といえるのかもしれませんね。

来月のテーマは、「食事 ~ストレス解消法~」です。

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