生活習慣病を予防する特定非営利活動法人 日本成人病予防協会
年齢と共に、だんだん顔の皮膚が垂れてくると、ほうれい線などが気になるようになって気分も下がってしまいますよね。
今回は、顔のたるみが起こる原因と、予防・対策法をお伝えします。
肌が乾燥すると、人間の皮膚の最も外側にある「角質層」が厚く硬くなって、柔軟性を失います。そして、乾燥が続くことで、水分保持力が弱くなって、バリア機能が低下し、皮膚内部のコラーゲンやエラスチンが傷ついて、たるみが起こります。
人間の皮膚の深層である「真皮層」には、肌のハリや弾力を生むコラーゲンとエラスチンというタンパク質が存在し、この2つが網目状に張り巡らされることで肌を支えています。
紫外線は波長の長さによって3つに分けられますが、そのうちUVA(A波)は、真皮層まで届いてコラーゲンやエラスチン、ヒアルロン酸などをつくる繊維芽細胞を破壊します。また、紫外線が過剰に発生させる活性酸素には、細胞のDNAやタンパク質を酸化させる性質があるため、コラーゲンやエラスチンは酸化して硬く変質します。さらに、古くなったコラーゲンなどを分解する酵素も活性化されて、健康なコラーゲンまで分解してしまいます。このように、複数のメカニズムによってコラーゲンやエラスチンが損なわれることで、肌を支えられなくなり、たるみが起こります。
運動不足や姿勢の悪さなどで血行が悪くなると、酸素や栄養が十分に供給されないため、コラーゲンやエラスチンの生成が低下して、肌の修復に影響します。
リンパとは、正しくはリンパ液のことで、リンパ液の流れる管をリンパ管といいます。リンパ液には、静脈で回収しきれなかった老廃物を心臓まで運ぶ役割がありますが、リンパ液は筋肉が収縮しないと流れないため、運動不足などでリンパ液は滞留し、むくみます。むくんだ箇所は重力に逆らえずに垂れ下がるため、むくみが続くと、たるみとなります。
睡眠が足りていないと、肌のターンオーバーが乱れて修復が十分に行われず、ハリがなくなります。また、ストレスがかかると、活性酸素が増加してコラーゲンやエラスチンが変質するため、肌を支えられなくなってしまいます。
寝ている間などに歯ぎしりや食いしばりをしていると、咬筋が異常に発達して顔の筋肉のバランスが悪くなってしまい、エラが張ったり、たるみが起こったりします。
眉間にシワを寄せるなど表情の癖があったり、食事の際に片側の歯だけで噛んでいたりすると、特定の筋肉のみを使い続けることになるため、筋肉疲労が起こり、たるみやシワの原因となります。使いすぎた筋肉は、ほぐしてあげることが大切です。
特に女性は、更年期や閉経後に女性ホルモンであるエストロゲンが急激に減少することで骨密度が低下して、骨がやせる(減る)「骨やせ」という現象が起こります。特に顔の骨は、他の部位と比べて骨密度の低下が早く、顔の土台が減ることで、筋肉や靭帯、脂肪、皮膚といった軟部組織を支えきれなくなります。そのため、目の周りの骨のくぼみが広がって、目の下がたるんだり、あごが小さくなって、頬が下がったりします。

顔の筋肉は、その上にある脂肪や皮膚を支えているため、筋肉が衰えると、脂肪や皮膚は重力に逆らえず、垂れ下がってしまいます。
顔の筋肉が衰える原因は、「使わないこと」です。私たちは普段、顔の筋肉を3割程度しか使っておらず、人と話す機会の少ない人や、デスクワークの人は、表情を変える機会が少ないため、特に筋肉が衰えやすいです。また、マスクを着けると、顔の動きが制限されて、より筋肉を動かさなくなるため、長時間マスクを着けている人は注意しましょう。筋肉は、使わないと衰えるだけでなく、硬直して動きにくくなるため、意識的に動かしてほぐし、鍛える必要があります。

顔の構造は、外側から順番に皮膚、脂肪、その奥に筋肉、骨となっています。
顔には30種類以上の筋肉が存在しており、それらを総称して「表情筋」と呼びます。表情筋は、比較的皮膚に近く浅い部分にある「表層筋」と、骨に近く深いところにある「深層筋」に大きく分けられます。
表情筋は、それぞれの筋肉が協力しあって目や口、鼻、頬などを動かし、複雑な動きや表情をつくっています。
<主な顔の筋肉>

毎日の生活の中で無理なくできる、顔のエクササイズをご紹介します。少し疲労を感じる程度のトレーニングを毎日継続して行うことが大切です。また、正しい姿勢で行うようにしましょう。※痛みや違和感があればすぐに中止してください。
唇が乾燥している人は、始める前に、リップクリームなどで保湿しましょう。
「あ」「い」「う」と口をゆっくり大きく動かしてから、「べー」と舌を出しましょう。思いきり大きく動かすのがポイントです。特に「う」は、しっかり口をすぼめるようにして、「べ」は、これ以上出せないくらいまで舌を地面の方に伸ばしましょう。顔全体の引き締めに効果があります。(顎関節に違和感がある人は、無理せず「い」と「う」だけ行いましょう)
上を向いた状態で、舌を前に(天井に向けて)出す運動です。舌を前に出しては緩める動作を繰り返し行ってみましょう。舌がつらないように注意しながら、首のすじが見えるくらい大きく動かしましょう。顎周りの引き締めに繋がります。
口にお水を含み、ブクブクと口と顎を動かす運動です。しっかりと頬を膨らませるようにしましょう。頬のたるみやほうれい線の解消に繋がります。歯磨きの最後に習慣づけるのもおすすめですし、水を含んでいるつもりで頬を膨らませて行っても大丈夫です。
おでこにシワが寄らないよう、おでこに軽く指を添えてから、眉は動かさずに目だけを大きく開きます。5秒間目を見開いてから、10秒間閉じる動きを5回程度繰り返しましょう。
上まぶたに軽く指を添えてあまり動かないようにしたら、目を細めるようにして下まぶたを上まぶたに近づけるように動かしましょう。15回程度行ってください。目の下のたるみに効果があります。
無表情で過ごすと顔の筋肉が衰えるため、笑顔も顔の筋トレだと思って、意識的に頬や口角を上げるようにしましょう。
片側の歯ばかりで噛んでいると使わない方の筋肉が衰えて、たるみやすくなります。左右のバランスを考えて、よく噛んで食べるようにしましょう。また、柔らかいものばかり食べず、噛みごたえのある硬いものも食べましょう。

そのほかには、以下のような対策があります。
・顔や頭皮のマッサージをして筋肉をほぐす
・スマートフォンを見るときはうつむいて見続けないように、姿勢に気をつける
・入浴の際は、下を向いた状態でシャワーを使用しないようにする
・乳液や保湿クリームなどで、肌の乾燥を防ぐ
・加湿器で部屋の湿度を保つ
・日焼け止めやUVカットの衣服などで紫外線を防ぐ
・食事やサプリメントで、コラーゲンを摂取する
・コラーゲンの合成に必要な、ビタミンCや鉄分を摂取する
・骨やせ予防には、カルシウムやビタミンD、ビタミンKを積極的に摂る
いかがでしたか?普段はあまり意識しない顔の筋肉ですが、美を保つためにも積極的に動かして、表情豊かに過ごしてみましょう。