生活習慣病を予防する特定非営利活動法人 日本成人病予防協会
冬季になるとノロウイルスによる感染症や食中毒が急増します。
今回は、ノロウイルスの特徴と感染経路、潜伏期間について抑えておきたいポイントを解説します。そして、ノロウイルスによる感染性胃腸炎の症状、有効的な消毒方法、注意点についてもご紹介します。


ノロウイルスとは、ウイルス性胃腸炎の原因として知られる、感染力の強いウイルスの一つで、ノロウイルスによって引き起こされる感染症を、『ノロウイルス感染症』と言います。ウイルスが感染・増殖するのは、ヒトの小腸の上皮細胞のみだと考えられており、食品中で増えることはなく、口から入り込んだノロウイルスは、胃酸に耐え小腸まで到達し、そこにある細胞に寄生することによって爆発的に増殖します。
ノロウイルスの感染力は強く、わずか10~100個程度のウイルスが体内に入っただけでも感染してしまいます。食品だけでなく、感染者の便や嘔吐物にも大量に含まれているため、飛沫が飛び散るなど、二次感染を起こしやすいのも特徴です。
ノロウイルスと一括りにされていますが、実は多くの種類(遺伝子型)が存在し、グループⅠからⅤに分類されています。主にヒトに感染するのは、グループⅠ(約10%)とグループⅡ(約90%)の二種類で、グループⅠには9種類、グループⅡには22種類の遺伝子型が存在しています。
例年11月から3月頃の冬場に流行します。ノロウイルスには、低温や乾燥した環境を好み活発に生存、感染する性質がありますが、空気が乾燥した冬場は飛沫が浮遊しやすくなることで感染が広がりやすくなります。また、冬場は寄生するヒトの抵抗力が低下しやすく、喉や気管支の粘膜が乾燥してウイルスが付着しやすくなるため、さらに感染が拡がりやすい条件が整っています。
ノロウイルスは、塩素系漂白剤(次亜塩素酸ナトリウム)による浸透、拭き掃除が最も有効な消毒方法とされています。あるいは、熱に弱いため85℃以上、1分以上の加熱も有効です。 通常、消毒に用いられるアルコールは、ウイルスの構造に脂質を含むエンベロープという膜で包まれたウイルスには有効とされていますが、ノロウイルスは「ノンエンベロープウイルス」であるため、効果が効きにくいと考えられます。

ノロウイルスが感染・増殖するのは、ヒトの小腸の上皮細胞のみだと考えられています。そのため、食品中で増えることはなく、口から入り込んだノロウイルスは、胃酸に耐え小腸まで到達し、そこにある細胞に寄生することによって爆発的に増殖します。

ノロウイルスの主な感染経路は、ほとんどが経口感染で、その他、接触感染、飛沫感染の3つがあります。それぞれの原因となる理由や予防のポイントを抑えましょう。
| 感染経路 | 主な原因 | 予防方法 |
|---|---|---|
| 経口感染 |
・ノロウイルスに汚染された二枚貝(牡蠣、アサリ、ホタテなど) ・生または加熱不十分な状態での喫食 |
食品の十分な加熱 (中心温度85~90℃、90秒以上の加熱) |
| 接触感染 | ・感染者の嘔吐物や排泄物に触れた手や汚染されたドアノブ、手すりなどを介して口に入った場合 |
・徹底した手洗い、 ・次亜塩素酸ナトリウムを使用した消毒 ・使い捨てのマスク・手袋、エプロンを着用し、処理後は石鹸と流水で手洗いうがいを徹底する。 |
| 飛沫感染 | ・感染者が排泄した便や嘔吐した際に、ウイルスを含んだ飛沫が飛散し、それを吸い込んだまたは、汚染された場合 |
・便や嘔吐物の迅速な処理およびマスクの着用 ・周囲の壁や床、感染者の衣類まで徹底して洗浄・塩素系漂白剤を使用し消毒を行う。 |

感染から発症までの潜伏期間は、24~48時間と比較的短く、症状は2~3日ほど続きます。主な症状は、吐き気、嘔吐、下痢、腹痛などの胃腸炎症状が生じます。
その他、軽い発熱を伴うこともあります。また、感染しても発症しない場合や軽い風邪のような症状である場合もあります。しかし、酷い下痢が続いた場合など脱水症状になることもあります。
食事は、症状が落ち着くまでは無理に食べず、脱水症状の予防のために経口補水液やスポーツ飲料などを少量ずつこまめに摂取しましょう。症状が落ち着いてきたら、お粥や煮込みうどんなど消化に良いものから始めてみましょう。
普段から体を鍛えており体力のある人は、無症状に近くなるあることもありますが、高齢者や子供、基礎疾患など免疫力の弱い人は特に、脱水症状や症状が重くなることがあり注意が必要です。
ウイルス感染後は、症状が収まっていても1週間から1か月程度は糞便中にもウイルスが排出されるため、手洗いや使用後には塩素系漂白剤を使用した消毒の継続し、二次感染を防ぐことが大切です。