生活習慣病を予防する特定非営利活動法人 日本成人病予防協会
秋到来!食欲の秋といわれるように、秋の味覚が旬を迎える時期です。
秋は、美味しいものに囲まれ、なぜだか食欲が止まらないという経験があるのではないでしょうか?
それには、秋ならではの理由があるのです。今回は、食欲が暴走してしまう理由やコントロール術を身に付けて、秋を快適に過ごしましょう♪
秋に限ったことなのか?と疑問に思う方もいらっしゃるかもしれませんが、 “秋”だからなのです。それには大きく2つの理由が関係しているといわれています。
秋になると、夏の暑さによって弱っていた消化器官も正常に働きを戻し、食欲も徐々に戻ってきます。さらに、気温が低くなっていくため、体温を維持しようとして基礎代謝量が高まります。その結果、必要なエネルギー量が増えて、それを補うためにも食欲が増してしまうのです。
鍵を握るのが「日照時間」です。私たちは、太陽の光に浴びると神経伝達物質のセロトニンが分泌されます。セロトニンには、不安をやわらげ、精神を安定させる働きがあることは有名ですが、満腹感を感じさせて食欲をコントロールする働きもあります。
ところが、夏至を過ぎると徐々に日照時間が短くなっていきます。それに伴って、セロトニンの分泌量も低下し、食欲が抑えられなくなってしまうのです。
季節の変わり目は、なかなか寝付けないという方も増えます。睡眠不足になると、空腹を感じさせるホルモンの「グレリン」の分泌量が増えることが分かっています。
秋は日没が早まり、夜の時間が長くなるため秋の夜長とも呼ばれています。ここで問題となるのが睡眠を左右する「メラトニンの分泌のタイミング」です。メラトニンの分泌は光によって調節されており、暗くなると分泌が高まるという特徴があります。
秋は暗くなるのが早くなり、メラトニンの分泌も早く始まります。早く始まることで、睡眠が誘発され、おのずと睡眠時間も長くなり睡眠の質が高まりやすい!・・・はずなのですが、ここで秋の夜長の落とし穴です。
過ごしやすい気候となり、夜の時間も長いため、ついつい夜更かししがちになってしまうのです。その結果、睡眠リズムが乱れ食欲をコントロールしにくくなってしまうのです。
<睡眠リズムと質>
セロトニンは、睡眠ホルモンのメラトニンの材料ですが、朝太陽の光を浴びて、15時間ほどするとメラトニンに変化し眠気を感じるようになるというリズムがあります。
ところが、秋は材料となるはずのセロトニンの分泌が減り、メラトニンの分泌が上手くされず、しっかりと寝ているはずなのに睡眠の質は落ちやすくなります。秋に起こりやすい日中ダルさや眠さはこのことが影響していると考えられます。さらに、睡眠の質が低下すると食欲を調整するホルモンであるレプチンの分泌が減り、食欲が増すという悪循環が起こりやすいのです。
セロトニンの分泌リズムが乱れると、食欲だけでなく、睡眠の質にも影響があることがお分かりいただけたのではないでしょうか。ここでは、メラトニンの材料となるセロトニンの分泌を促す方法をご紹介します♪
朝太陽の光を浴びると体内時計がリセットされて、メラトニンの分泌を抑え、代わりにセロトニンの分泌を増加させるスイッチを押してくれます。
一定のリズムを刻み筋肉の緊張と弛緩を繰り返すことでセロトニンの分泌が促されます。その他、咀嚼もリズム運動の1つです。気温が低下すると基礎代謝も落ちやすくなるので、体を動かして脂肪を燃焼させましょう。
38~40℃のぬるめお湯でゆったりと湯舟に浸かりましょう。湯船に浸かると、水圧や浮力が足に加わり、血液やリンパの流れがよくなり、疲れも取れやすくなります。10~20分程度入ることで、体の深部まで温まり、筋肉の緊張が緩み、副交感神経が優位となってリラックス状態に導いてくれます。さらに、入浴後はすぐに布団に入らず、体のほてりを取りながらゆったりと過ごすことで自然とよい眠りにつきやすくなります。
セロトニンの材料となる栄養素は、必須アミノ酸のトリプトファンです。トリプトファンは肉や魚、大豆製品などのタンパク質に多く含まれています。特に、朝はしっかりと摂るように意識しましょう。
▼トリプトファンについてはこちらの記事もご参照下さい。
具材を大きめに切って、ゆっくりしっかりと嚙んで、満足感を感じながら食べることも大切です。どうしても食べ過ぎてしまう!という方は、罪悪感を感じにくく、満足感を得やすい【低カロリーの食品】を選ぶようにしましょう。しかし、カロリーが低いからといって食べ過ぎには要注意です。