健康管理情報

出血 ~不正出血~ -気になるからだの危険信号-

2002年3月号
更新)
気になるからだの危険信号

不正出血とは

不正出血とは月経以外に起こる性器からの出血のことです。
月経時の出血は、子宮体部からの出血ですが、不正出血は子宮体部だけではなく、子宮頸部、膣、外陰部からの出血も考えられます。

不正出血の種類
機能性出血

特別な病気や妊娠とは関係なく、女性ホルモン(卵胞ホルモンと黄体ホルモン)分泌のアンバランスによって起こります。
ホルモン分泌の変化する思春期や更年期に起こりやすいのが特徴です。
月経と月経の間の排卵期に、一時的にホルモンの分泌が変動するために起こる少量の出血を中間期出血といいます。

器質性出血

生殖器に何らかの病気があることによって起こります。

注意が必要な症状

妊娠初期には子宮が充血し、粘膜から出血が起こりやすい状態になっています。そのため、特に異常がなくても出血が起こることがあります。しかし、出血量が多く、止まらない場合には、流産が考えられます。できるだけ早く産婦人科で治療を受けましょう。

妊娠中は医師の管理を受けていますが、流産は突発的に起こるので、検診を受けたばかりだからといって安心はできません。また、本人が妊娠に気づいていない場合にも、流産や子宮外妊娠による出血が起こることもあります。

子宮筋腫のなかでも、子宮の内側へ突出したようにできた粘膜下筋腫が考えられます。それほど大きくなくても表面の粘膜が傷つきやすく、多量の出血をみることがあります。このような時には、下腹部痛を伴います。月経中に出血した場合、月経量が多くなり、貧血を起こすこともあります。

子宮の外側にできたものは、かなり大きくなるまで自覚症状もなく、出血も起こしません。

茶色や黄色のおりものがあるのは、生殖器内で炎症が起こり、そこが化膿して膿が出ているためです。原因となる病気として、子宮内膜炎、膣炎、外陰炎などが考えられます。さらに、下腹部痛や外陰部のかゆみを伴います。

子宮内膜炎は、流産や人工中絶、子宮内腔の検査のあとなどに起こりやすくなります。患部の粘膜がきのこ状に増殖して、ポリープになることがあり、これが大きくなると不正出血の原因となります。良性の腫瘍なので特に心配はありませんが、大きくなれば手術で取り除きます。

膣炎は、大腸菌などの細菌やトリコモナスという原虫が炎症の原因となります。生殖器の内外に存在する大腸菌やカンジダというカビが原因で、体全体の抵抗力が低下している時に発症することがあります。抗生物質による治療が必要です。

また、子宮体ガンや子宮頸ガンがおりものや不正出血の原因であることもあります。炎症による出血か、悪性腫瘍による出血かの判断には専門的な詳しい検査が必要です。


接触出血といい、子宮頸部に異常がある場合に起きやすい症状です。

接触出血を起こす病気
  1. 子宮膣部びらん
    ホルモンの影響などで子宮頸管の表皮が膣部表面にはみでてくるため、その部分がただれたように見えます。
  2. 頸管ポリープ
    子宮膣部びらんや子宮頸管粘膜の一部が増殖して、いぼ状になる病気です。ポリープの大きさが不正出血を起こすほどまでに成長していれば摘出が必要となります。
  3. 子宮頸ガン
    出血があった場合、ガンでないことを確認するためにも、産婦人科で検査をうけておくことが大切です。ポリープを摘出した場合には、その組織診を行なって、ガンの有無を調べます。

閉経後は女性ホルモンの分泌が著しく減少するため、性器全体の萎縮が起こってきます。
そのため、膣粘膜も萎縮し、乾いて弾力性が失われて目にみえないほどの小さなひび割れが生じます。
それとともに粘膜全体が赤く炎症を起こし、ひび割れから出血してくるのです。このことから萎縮性膣炎と呼ばれます。

不正出血を起こす悪性腫瘍としては、子宮頸ガン、子宮体ガン、膣ガン、外陰ガンなどがあります。
子宮頸ガンは閉経前にも多いのですが、子宮体ガン、膣ガン、外陰ガンは、ほとんどが閉経後に起こります。

閉経後にごく少量でも出血があれば異常です。ガンの可能性もあるので、なるべく早く産婦人科で診療を受けるようにして下さい。

診察

診察を受ける目安は、閉経前で少量の出血なら1~2ヶ月様子をみて、月経との関係をみてからでもよいのですが、閉経後の場合は、早めに診察を受けましょう。

受診の際は、いちばん最近の月経がいつか、ホルモン剤を飲んでいたか、出血の量はどれ位で、痛みがあるかどうか正確に医師に伝えましょう。

来月のテーマは、「だるさ -気になるからだの危険信号-」です。