健康管理士・国際学会発表報告会

~健康管理士の健康意識や実際の生活習慣と生きがいとの関連性~

開催要項

Information

                                       
セミナー・講座名 健康管理士・国際学会発表報告会
~健康管理士の健康意識や実際の生活習慣と生きがいとの関連性~
対象 健康管理士
開催日 2019年11月23日(土)
時間 10:00~11:30
会場
会場名:
EBiS303 5階カンファレンススペース
住所:
東京都渋谷区恵比寿1-20-8
定員 150名(応募者多数の場合は抽選)
講師
廣岡 伸隆 先生

廣岡 伸隆 先生

<講師肩書・役職>
埼玉医科大学総合診療内科 准教授
                                                     
<プロフィール>
1995年防衛医科大学校医学科卒業。日本国医師免許取得のほか、米国医師資格(ECFMG)取得を取得。
防衛医科大学校臨床教育教授、自衛隊中央病院総合診療科兼救急科救急室長などを務め、2016年より埼玉医科大学総合診療内科准教授現在に至る。
健康管理士一般指導員資格も取得し、国内外で幅広く活躍中。専門は総合診療医学。

概要

2018年12月の「ほすぴ167号」において皆様にご協力をいただきました、「健康管理士の健康意識や行動変容」についてのアンケート結果が集計され、「健康管理」の知識を体系的に学習することが「意識」を向上させ、様々な分野で「行動変容」が起こることが実証されました。

その結果を踏まえ、2019年11月19日、カナダのトロントで開催された国際学会North American Primary Care Research Group Annual Meeting にて、埼玉医科大学総合診療内科 准教授でいらっしゃる廣岡伸隆先生が『健康管理士』の行動変容結果を発表されました。

そして、カナダ・国際学会での発表からわずか4日後の2019年11月23日に、「健康管理士・国際学会発表報告会」を開催しました。
帰国されたばかりの埼玉医科大学 廣岡伸隆先生から、健康管理士の皆様に向けて、素晴らしい研究結果をご披露していただきました。
雨の中ご参加いただきました約180名の健康管理士の皆様方は、知識習得や資格取得の意義を改めてご認識され、「これからは更に自信をもって健康管理士として活動していこう」とお感じになられたことと思います。
皆様のご協力に心より感謝申し上げます。

当セミナーの申込受付は
終了いたしました。

               

当日のスケジュール

schedule

受付・開場 09:30

開会・挨拶 10:00~10:10

~ 研究結果 要旨 ~
「健康管理士の健康意識、生活習慣、予防医療の調査」に関する報告
10:10~11:30

講師:埼玉医科大学総合診療内科 准教授 廣岡 伸隆 先生(医師・健康管理士)

1.はじめに

平成30年12月に実施いたしました、「健康管理士の健康意識、生活習慣、予防医療の調査」の解析に基づき、令和元年11月19日カナダトロントで開催された、プライマリ・ケア(予防医療)分野の研究学会であるNorth American Primary Care Group(NAPCRG)年次集会にて発表を行いました。

カナダで開催された国際学会の様子

「プライマリケア国際学会」の大看板
「プライマリケア国際学会」の大看板

「健康管理士の健康意識や行動変容」発表要旨 と “健康管理士“は日本語表記で強調

研究結果の要旨については下記の「国際学会・発表報告会」のページに掲載しておりますが、健康管理士の資格取得者は、厚生労働省が推進している「健康日本21」の目標数値をほとんど達成しており、「ヘルスリテラシーが高い」ことが示唆されました。
貴重な結果を得ることができ、そして健康管理士の一人として結果発表を行い、世の中にその存在を示すことができたのは、アンケートにご回答いただいた皆様のご厚意によるところ大ですので、感謝の意も含めここにその内容を紹介いたします。

埼玉医科大学 准教授 廣岡伸隆先生によるご報告
埼玉医科大学 准教授 廣岡伸隆先生によるご報告

2.研究概要

本研究は、本邦における医学研究にかかわる法令を遵守すると同時に、「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針」に則り計画実施されました。また、今回のようなアンケート調査を含め、人を対象とした医学研究を実施するには、研究者が所属する施設においてその審査を目的に複数人数で構成される倫理審査委員会において審議ののちに初めて行われます。今回は、研究者である私自身の所属する埼玉医科大学倫理審査委員会にて審査を受け承認(申請番号:896)されたのちに実施しました。

健康管理士の皆様に送られる「ほすぴ」の12月号に、アンケート及び調査参加の説明を加え回答いただいたものを、協会へ返送いただき、協会より解析のために研究管理部門に用紙の送付を受け解析したものです。4820名(男性1630名、女性3190名)の健康管理士の皆様にアンケート回答にご参加いただきました。内容は、身長・体重・年齢などに加え、生活習慣、予防医療の受検有無、そしていきがい尺度の回答で、国が健康増進の目的で推進していている「健康日本21」と呼ばれる対策に全国で使用される調査項目と同一のものを主に含んでおり、全国の平均値や健康日本21が設定しているゴールと比較ができるよう実施しました。

熱心に聴講される健康管理士の皆様
熱心に聴講される健康管理士の皆様

3.結果

① 栄養と食事

「栄養成分の表示を参考にしている」率は、男性72.3%、女性が87.3%で、これは全国の平均も健康日本21の目標も達成しています。また、「主食・主菜・副菜を基本に栄養バランスをとっている」率も全体で90.8%と高く、全国平均及び健康日本21目標を達成しています。

② 運動

「意識的な運動」の調査では、男性が86.0%、女性82.3%が行っていると回答し、これは健康日本21の目標である63.0%を大きく上回っており、全国平均よりも高い結果です。1回の運動時間では、1回30分以上運動する人が全体で半数以上を占めており、週2回以上の運動習慣がある人も、男女ともに健康日本21の目標を十分にクリアしている結果です。

③ ストレスと睡眠

「ストレス・悩み・不満」を感じるかどうかの問いには、全体で「大いにある」と「多少ある」を合わせて74.4%との回答でした。これは、全国平均の62.2%よりも高い割合となっています。ただし、休息が「十分」あるいは「まあまあ」とれていると回答した率が全体で75.4%であり、全国平均を上回っています。また、睡眠については、「不足がち」および「不足」と回答する率が21.3%であり、これは全国平均、健康日本21の目標値とほぼ同率です。

④ 体格データ・健康観

平均身長は、男性169 cm、女性157 cm、体重が男性66.8 kg、女性52.7kgでした。BMIが25.0を超える率は、男性24.6%で女性が10.1%でした。女性では、健康日本21の目標である20%未満をクリアしています。また、生活習慣改善の意欲は男女とも高く、男性88.3%、女性89.3%が改善意欲ありと回答し、主観的な健康観も「大いに健康」と「まあまあ健康」を合わせて93.6%と高く全国の平均値を上回っています。

「栄養成分の表示を参考にしている」率は、男性72.3%、女性が87.3%で、これは全国の平均も健康日本21の目標も達成しています。また、「主食・主菜・副菜を基本に栄養バランスをとっている」率も全体で90.8%と高く、全国平均及び健康日本21目標を達成しています。

⑤ 飲酒

飲酒頻度と飲酒量のアンケート調査から、1日平均20グラム以上のアルコールを摂取していると推測される割合を算出したところ、男性12.0%、女性2.6%となりました。これは、健康日本21の目標値(男性3.2%以下、女性0.2%以下)をクリアできていませんでした。

⑥ 健康診断とがん検診

過去1~2年間で健康診断を受検した人(40歳以上)は、全体で78.8%と高値であり、健康日本21の目標値である70%以上に到達しています。

がん検診(胃・大腸・肺の各がん及び女性における子宮・乳がん)受検率は、胃がん、大腸がん、肺がんの健診受検率が全体で、それぞれ49.3%、47.0%、53.6%となっており、すべての項目で男女ともに健康日本21の目標に到達しています。ただし、目標受験率が40%以上となっており、目標値が現時点ではやや低く設定されており、更なる受検率向上が期待されます。

4.まとめ

今回の調査で示された点、およびその解説点は以下のように要約できると思います。

  • 健康管理士の皆様のヘルスリテラシーは高いと考えられる
  • 健康管理士の皆様全体として、ほとんどの健康日本21目標を達成している
  • ストレスや飲酒に関しては、改善の余地が残されている可能性がある
  • 生活習慣、健康意識、予防医療行動を通じ、さらに生きがいを高めることで疾病予防や健康寿命延伸が叶う可能性がある。

結果報告当日に参加いただいた方には、これらに加えヘルスリテラシー、健康づくりのための身体活動、健康日本21における食事栄養目標の考え方、飲酒に関する推奨、生きがいと自己効力感などを合わせて解説させていただきました。ご参加ありがとうございました。

重ねて、今回の調査にご参加いただいた皆様に感謝申し上げます。また、更に健康管理士の皆様に役立つ調査研究も予定しており、その情報の創出によって健康管理士の地位向上につなげられるよう多くの方にご参加いただけるようお願い申し上げます。

当協会といたしましては、今回のような「健康管理士の行動変容」に関する調査・研究を積極的に行い、様々なエビデンスを集めて皆様にフィードバックをし、またその結果を「健康管理・予防医学分野の様々な学会」において発表をしていく予定です。

健康管理士の皆様方におかれましては、更なる資格の地位向上のために、今後ともご協力を賜りますようお願い申し上げます。

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