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奈良 ~日本の郷土料理~

2016年4月号
更新)
日本の郷土料理

奈良県は本州中央部から南側の太平洋に突き出る、日本最大の半島である紀伊半島の中央に位置しています。周囲を山岳に囲まれた海に面していない内陸県であり、西は大阪府、北は京都府、東は三重県、南は和歌山県に接しています。
奈良県は、県の中央部を流れる吉野川を境に北部の盆地と南部の山地に分かれ、気候も大きく異なります。北部の奈良盆地は、夏が蒸し暑く冬は冷え込みの厳しい内陸性気候、県南部は全国有数の多雨地帯で山岳性気候となります。
710 年から 794 年まで日本の都であった奈良県は、政治・経済・文化の中心として栄え、歴史と自然の宝庫です。
県の花は「奈良八重桜」です。つぼみの時は紅、開花すると白、散り際は再び紅へと色が変化するのが特徴です。

 

名所

法隆寺

法隆寺は、奈良県生駒郡斑鳩町(いこまぐんいかるがちょう)にある寺院です。別名「斑鳩寺(いかるがてら)」とも呼ばれ、聖徳宗の総本山です。聖徳太子と推古天皇が7世紀初めに創建され、1993年に日本の寺としては初めて世界遺産に登録されました。
法隆寺は国宝・重要文化財に指定されたものだけで約200件、点数にして2,300点を数え、現存世界最古の木造建築物である金堂(こんどう)、日本最古の五重塔(ごじゅうのとう)があります。
また、飛鳥時代の代表的な彫刻である長身ですらりとした姿をしている百済観音立像(くだらかんのんりつぞう)も安置されています。

特産品

奈良の柿

「柿食えば 鐘が鳴るなり 法隆寺」と正岡子規が詠むように、奈良地方には柿の木が多くあり、奈良県は和歌山県に次いで全国2位の生産量を誇る柿の産地です。柿は古来より日本で栽培されている果物であり、奈良県では大和朝廷の時代から栽培されています。特に大正時代以降、柿の栽培面積が増えました。
柿には栄養が豊富に含まれており、「柿が赤くなれば、医者が青くなる」といわれるほど栄養価が高く、ビタミンC、ビタミンK、ビタミンA(カロテン)、B1、B2、ミネラル(特にカリウム)、食物繊維などを豊富に含んでいます。

郷土料理

柿の葉寿司

柿の葉寿司は、一口大にした酢飯に鯖や鮭、鯛などの切り身を乗せて、柿の葉で包んで押しをかけた奈良県の郷土料理です。
柿の葉寿司が生まれた江戸時代は交通手段が乏しかったため、和歌山県などの近海で獲れた魚などの生ものを山に囲まれた奈良県、とりわけ山の奥にある千本桜で有名な桜の名所でもある吉野地方まで届ける道中で腐らせないように塩でしめ、手近にあった殺菌・防腐効果のある柿の葉で包むことで保存性を高めることを目的に柿の葉寿司が考案されました。
当時、米や魚が貴重であった奈良県吉野地方のお祭りやお祝いごとのご馳走としてつくられていたようです。

奈良漬け

奈良漬けは、主として瓜類の酒粕(さけかす)漬けのことであり、現在では、きゅうり、なす、人参、大根、しょうがなど多種の野菜を材料としています。上流階級の保存食、香の物として珍重され、奈良時代の貴族であった長屋王(ながや(おう)(684~729年)の邸宅跡から「加須津毛(かすづけ)」と記載された木簡(もっかん)(文字などを書き記した木の札)が発見され、1300年以上の昔からつくられていたことが分かっています。
江戸時代には、奈良県の漢方医が自慢の奈良漬けを徳川家康に献上したところ、家康が奈良漬けをたいそう気に入ったことで有名となりました。また、奈良を訪れる旅人によって知られ、庶民にも広がったとされています。

来月のテーマは、「福井県 ~日本の郷土料理~」です。