健康管理情報

ロタウイルス ~感染症~

2020年2月
感染症

ロタウイルス感染症とは

ロタウイルスの「ロタ」とは、ラテン語で車輪という意味で、車輪のような形をしているウイルスです。
3月から5月頃の春にかけて乳幼児に流行し、急性胃腸炎を引き起こす感染症です。
厚生労働省によると、日本の患者数は年間80万人ほどで、数名が命を落とされています。発展途上国では、乳幼児の死因として、深刻な問題となっています。
ロタウイルスは、非常に感染力の強く、就学前までにほぼすべての子供が感染するといわれています。乳幼児期に感染を繰り返す中で免疫ができていき、大人になると感染しても症状が出ない、または軽い症状が出ても自然治癒していくことがほとんどです。しかし、疲れていたり、免疫力が下がっていたり、高齢者や妊娠中の人などは、大人であってもロタウイルスによる胃腸炎を引き起こしてしまう可能性があります。

   ロタウイルス感染症

 

感染経路

主な感染経路は、ヒトからヒトへの経口感染です。感染者の便中や嘔吐物中のウイルスが、ドアノブや手すりを介し、口に入り感染します。特に多いのが、保育園や幼稚園、学校などの集団感染です。また、感染した幼児の看病中に親が感染することもあり、家族内で感染が広がることがあります。

ロタウィルス感染経路

 

症状と治療方法

ロタウイルスに感染すると、2~4日の潜伏期間があります。主な症状は、腹痛、激しい下痢、吐き気、嘔吐、発熱です。下痢や嘔吐により脱水症状が続くことがあります。特に、初めて感染したときに強い症状が出ます。
ロタウイルスに感染すると、米のとぎ汁のような白い色の便が出るのが特徴的です。ロタウイルスの抗ウイルス剤はなく、ウイルスが体から排出されるのを待ちます。対処療法として、脱水症状を防ぐために水分補給をしたり、体力維持のために消化の良いものを食べるようにします。しかし、脱水症状がひどい場合には病院で点滴をしてもらうなどの治療が必要です。下痢止めの薬を飲むと、ウイルスが体から排泄されずに回復が遅れるため、使用しないことが望ましいとされています。

ロタウィルスの治療

 

予防方法について

感染力の強いロタウイルスの感染を乳幼児が防ぐのは難しいとされています。
乳幼児のいる家庭での二次感染の防止としては、手洗いをしっかり行うことや消毒です。ノロウイルスと同じく、エタノールやアルコールの消毒は効きません。塩素系漂白剤で作る消毒液を使用するか、85度以上1分以上の加熱をすることが有効です。トイレやドアノブ、よく手で触れる場所、嘔吐物が付着したところなどは塩素系漂白剤で消毒するのがよいでしょう。汚れた衣類も塩素系漂白剤に漬け込み、消毒してから洗濯しましょう。塩素系漂白剤はキッチン用などで代用できますが、濃度はメーカーによって違いますので、希釈倍率につきましてはホームページなどで確認してみましょう。
また、おむつ交換の際には使い捨て手袋を使用したり、使用済みのおむつをポリ袋に入れて密閉してから捨てるなどの対策が必要です。

ロタウィルスの予防方法

 

現在、ロタウイルスのワクチンは任意接種で費用は自己負担となっています。2020年10月より定期接種化が決まり、無料で受けられることとなりました。ワクチンの接種時期が決められているため、ご注意ください。
ロタウイルスワクチンは、接種しても感染を完全に防ぐことはできませんが、重症化を避けることができます。大人は、二次感染を防ぎ、拡大防止することが大切です。

来月のテーマは、「麻疹・風疹 ~感染症~」です。