健康管理情報

昔の病気じゃない結核 ~感染症~

2020年7月
感染症

昔の病気じゃない結核。生活水準の向上や国の結核対策によって、昔に比べ罹患する人数が減少した日本でも4人に1人が感染している可能性があります。肺結核を発病し、死亡する人も毎年います。小説やドラマでは不治の病として恐れられていましたが、現代では治療をすればほとんど完治します。結核の予防と早期発見のために、この病気の特徴、治療、予防法の正しい知識を知っておきましょう。

結核ってどんな病気?

結核とは、「結核菌」という細菌による慢性感染症です。患者のくしゃみや咳の際に体外に排出された結核菌は微細な大きさのため、なかなか落下せず空気中を漂っています。この結核菌を肺の奥深くまで吸い込んで、小さな病変ができる、あるいは肺の入り口のリンパ節が腫れた段階で感染が成立したことになります。感染が成立しても、多くの場合は人の免疫の力で抑えられますが、吸い込んだ菌が非常に多い場合や、免疫が低下している場合には「結核症」に進むことになります。最後には肺の組織の大部分が破壊されて呼吸困難や、他の臓器不全を起こして生命の危機を招くことになります。

結核症の中でもよく知られているのが「肺結核」です。その他の臓器でも病変を起こすことがあります。最も多いのがリンパ節、次に多いのが腎臓です。その中でも最も怖いのが脳で起きた場合であり、髄膜炎となり後遺症または死亡率が高くなります。

 

結核の感染経路

主な感染経路は空気感染と言われています。咳やくしゃみから空中に飛散し、結核菌が空中に浮遊し、人に吸い込まれ感染します。

初期症状

肺結核を発症した時の初期症状は風邪と似ており、肺炎やインフルエンザなどの病気と違い症状が軽いため自分では気づかないのが特徴です。微熱、だるさ、咳、痰が出るなどの症状が2週間以上続く場合は、かならず医療機関への受診をするようにしましょう。

肺結核はゆっくりと進行するため、受診する頃には重症化してしまっているケースもあります。

結核の初期症状

結核の予防

肺結核の感染や発病を防ぐために重要なことは、免疫力を高めておくことです。結核菌を吸い込んでも、通常は鼻やのど、気管支の繊毛によって、ほとんどは体外に排出されます。ごく稀に肺まで侵入してきたとしても、免疫力が高ければ菌の働きを抵抗力によって抑えることが可能です。もし感染をしてしまった場合でも、免疫細胞のマクロファージの働きによって、結核菌を抑え込み、発病することは少ないです。しかし、加齢や病気、ストレスなどによって免疫力が弱まると、感染・発病の危険性が高まってしまいます。免疫力を高めるために、バランスのとれた食事と十分な睡眠を心がけ、適度な運動を継続しましょう。

おそらく予防接種は?という疑問が沸くのではないでしょうか。乳幼児期に受けるBCG接種の効果は10年~15年と言われ、成人期には、有効ではありません。規則正しい生活を心がけ、年1回は健康診断などにより、健康状態の確認を行い予防に努め、早期発見・早期治療をできるようにしましょう。

結核の予防

 

厚生労働省では、毎年9月24日から30日を「結核予防週間として、結核の予防に関する普及啓発活動をしています。感染症が一番恐ろしいのは、気づかないうちに感染して、周りの人にうつしている可能性があることです。

みなさんもこれを機に、結核について考えてみませんか?

来月のテーマは、「水痘・帯状疱疹 ~感染症~」です。