健康管理情報

大人がなると危険!!おたふくかぜ ~感染症~

2020年11月
感染症

子供の頃に罹ったから大丈夫?たしか、罹った“はず”は意外にもリスクが潜んでいるかもしれません。おたふくかぜは大人になって罹ると重症化や合併症を起こしやすいとも言われています。

自分自身の予防と周りの大切な方を守るためにも、この病気の特徴、治療、予防法の正しい知識を知っておきましょう。

  おたふくかぜ

おたふくかぜってどんな病気?

正式には、「流行性耳下腺炎」というもので、ムンプスウイルスの感染によって発症するウイルス性の感染症のひとつです。感染すると見た目がおたふくのようになることから通称「おたふくかぜ」と呼ばれています。

一般的には、小学校低学年までの年齢で発症することが多い感染症です。一度感染することで生涯の免疫ができますが(獲得免疫)、なかには成人になってから初めておたふく風邪を発症する方もいます。

ウイルス

感染経路

主な感染経路は2つ経路があり「飛沫感染」と「接触感染」です。

飛沫感染は、感染している人が咳やくしゃみ、会話などをすることでウイルスの含まれた唾液などが飛沫し、周囲の人が吸い込むこむことで感染します。飛散したウイルスが目の粘膜から体内に侵入して感染することもあります。

接触感染は、感染している人と同じカトラリーやコップを使用する、ウイルスが付着した手やドアノブ、手すりなどに触れた手で、口や鼻を触り、粘膜から体内に侵入することにより感染します。体の表面についただけでは感染はしないため、こまめな手洗い、アルコール消毒を心掛けるようにしましょう。

感染経路

症状はすぐに出る?

~潜伏期間~

ムンプスウイルスに感染しても、症状はすぐには出ず、潜伏期間というものがあります。潜伏期間は病原体に感染してから体に症状が出るまでの期間、あるいは感染性を持つようになるまでの期間のことです。風邪と似た比較的軽い症状が続く場合もありますが、ほとんどの場合はすぐに出ないことが多く、自覚症状がないために知らない内に、周りの人へ移してしまっている可能性があるので注意が必要です。
おたふくかぜの特徴として、他の感染症に比べ潜伏期間が長く、潜伏期間は12~25日間(平均18日間)といわれています。

~症状~

まず片方の耳下腺が腫れ、その後70~80%の割合で反対側も腫れてきます。
大人が感染した場合は、40度を超える発熱、腫れや痛みも強くなることが多く、耳下腺の腫れによって口を開けることも困難になり食事をとることも出来なくなることがあります。
また、症状が出始める1日前~5日後が最も感染力が強いとされています。そのため、学校保健安全法では症状が出てから5日間は保育園や学校などに登園、登校できないことになっています。一方、大人の場合は法律上出勤停止の決まりはないため、会社ごとに規則を定めている場合があります。周囲の方に移してしまわぬように、自粛するようにしましょう。

なぜ頬や顎の下が腫れるのか?

耳の下や顎の下には唾液腺があります。唾液腺ではムンプスウイルスを排除しようとする免疫機能が働くために炎症が起こります。その結果、唾液腺のある顔の周りが腫れて痛みが生じたり、発熱したりします。

おたふくかぜの発症部位

おたふくかぜの予防

もし感染してしまった場合、特効薬などはなく自然治癒を待つことになります。そうならないためにも、事前にできることを実践しましょう。
おそらく予防接種は?という疑問が沸くのではないでしょうか。
ムンプスウイルスの毒性を弱めた生ワクチンを2回接種することが有効とされています。
しかしながら、日本ではおたふくかぜの予防接種は定期接種項目には入っておらず、任意接種であり、費用は自己負担となっているのが現状です。

予防接種の目安

一度罹ると抗体ができて感染しにくいといわれているおたふくかぜですが、不規則な生活やストレスなどをためすぎてしまっている時など、抵抗力が落ちていると感染してしまうことが稀にあります。

日頃より手洗いうがいを行い、バランスの摂れた食事を心掛け、適度な睡眠時間を取り、体内リズムを整え免疫力をあげておくことが大切ですね。

来月のテーマは、「海外渡航者(A・B型肝炎、黄熱、狂犬病) ~感染症~」です。