健康管理情報

肝臓の検査Ⅱ

1999年1月号
更新)
生活習慣病

急性肝炎と慢性肝炎の違いって何?

急性肝炎・慢性肝炎は、ウイルス性肝炎を指すことが原則です。

急性肝炎

短時日のうちに、風邪症状、胃腸炎症状で始まり、そのうちに肝炎を示す黄疸が急に起こります。大部分の人は1~2ヶ月のうちには症状がおさまって治癒します。

慢性肝炎

急性肝炎の後も肝障害が続くか、肝炎の症状はないが、血液検査の結果で異常値を示すという状態が、6ヶ月以上続いている場合です。(A型肝炎にはない)

ウィルス性肝炎の種類

ウィルスの種類によりA・B・C・D・Eに分けられますが、D・E型は日本ではほとんど発生しません。

各ウィルス性肝炎の特徴と治療方法

肝炎 特徴 治療・予防
A型肝炎 症状…急性肝炎を発症。初期は、発熱や吐き気をもよおし、倦怠感を伴い、やがて、黄疸の症状が現れる
潜伏期間…2~4週間
経口感染 …ウィルスに汚染された生水や食品、特に生の貝や魚などを食べることで起こる。旅行先(特に中国南部・東南アジア・アフリカなど)での感染が多くなっている
GOT,GPTが2000や3000といった数値まで上昇する
IgM型HA抗体検査(ウィルス検査)
陽性…最近A型肝炎ウィルスに感染していたことを示す

<治療>
免疫機構の働きによる自然治癒。体を横にした、「安静」が最も効果的。

<予防措置>
免疫グロブリン注射
A型肝炎ワクチン
(HAワクチン)
旅先での生水・氷、生貝・魚を食べないように注意する
家族内での二次感染の予防

B型肝炎 症状…キャリアの90%は自然に治るが、10%は徐々に悪化し、肝硬変・肝ガンに進行する
急性と慢性がある
潜伏期間…(成人)1~3ヶ月、その後急性肝炎へ(但し、抗体ができるので慢性肝炎にはならない)
(子供)20年、免疫機構ができていない子供がウィルスを持ちつづけ、(キャリア)将来慢性肝炎を起こす可能性がある
母子感染 …出産時に母親から免疫力の弱い子供に感染
輸血感染 …輸血血液にB型肝炎が混入している場合(現在は輸血用血液のチェックが厳しく、輸血感染はまずない)
HBs抗原検査 (ウィルス検査)
陽性…現在B型肝炎ウィルスに感染していることを示す
<治療>
インターフェロン
ステロイド・リバウンド療法
有機ゲルマニウム
グリチルリチン製剤

<予防措置>
(母子感染)
免疫グロブリン注射
B型肝炎ワクチン

<注意>
B型肝炎に感染していて、他の病気でステロイド薬による治療は慢性化、重症化する危険がある
性行為で感染の可能性
出血したときに他人に触れない

C型肝炎 症状…急性から7~8割は慢性へ移行。放置すると肝硬変・肝ガンへ進む恐れあり
全体の50%は感染源を特定できず
輸血感染 …輸血血液にB型肝炎が混入している場合(現在は輸血用血液のチェックが厳しく、輸血感染は激減)
HCV抗体検査(ウィルス検査)
陽性…大多数は現在、少数として過去にC型肝炎ウィルスに感染してことを示す
HCV-RNA検査(ウィルス検査)
陽性…現在C型肝炎ウィルスに感染していることを示す
<治療>
インターフェロン
グリチルリチン製剤
胆汁酸製剤

<注意>
C型肝炎と多量の飲酒が重なると症状が悪化
感染力が弱く、性行為で感染しない

インターフェロン療法ってどんな治療?

生活習慣で起こる肝炎の予防のために

来月のテーマは、「肥満の検査」です。