健康管理情報

高血圧の検査Ⅱ

1999年9月号
更新)
生活習慣病

自然治癒力とは「自分の力で病を癒し、治す自然の力」のことです。その自然治癒力を高めるためには「食事」、「運動」、「呼吸」、「心」が大切な条件になります。今回はその中で「食事」についてお知らせします。

高血圧の合併症

高血圧は、サイレント・キラー(忍びの殺し屋)といわれています。多くは特別な自覚症状のないまま進行し、やがて命にかかわるような合併症を引き起こすからです。しかし、全く自覚症状がないかといえば、そうではありません。急激に血圧が上がったりすると頭痛、めまい、肩こりなどを訴えることもあります。

そして、血圧の高い状態が続くと、知らない間に心臓や血管に強い負担をかけます。

そのため、10~15年経過すると、心臓や腎臓、血管などにさまざまな障害が現れるようになります。
高血圧が臓器に傷害を与えるのは、「動脈硬化」を促進させるからです。

長い間、高血圧の状態が続くと血管に過度の負担がかかり、それに対応して血管壁が厚くなり、傷つきやすくなり、傷ができると、そこにコレステロールが沈着し、血管の内腔を狭めてしまいます。こうして動脈硬化が進むと、流れにくくなり、心臓はより圧力をかけて血液を送り出します。
そのため血圧はさらに上がり、動脈硬化も進むという悪循環を起こします。

高血圧の合併症
脳卒中
  • 脳出血
    動脈硬化によって、もろくなった血管に、高血圧による高い圧力が加わると、脳内の血管が破れて、大出血します。
  • 脳梗塞
    動脈硬化が進行して、脳の血管が詰まると、その部位より先に血液が送られなくなり、脳細胞が壊死します。
腎不全

腎臓は、血液を濾過する機能を持つ「糸球体」という組織の集合体です。糸球体に集まってくる細い血管に動脈硬化が起こると、血液が悪くなり、濾過機能が低下してしまいます。極端に機能が低下した状態が「腎不全」です。腎不全になると、濾過されるべき老廃物が体内に溜まり「尿毒症」へと進行することもあります。そのため人工的に血液を濾過する透析療法が必要になります。

心筋梗塞

心臓の筋肉に酸素や栄養を送っているのが、心臓を取り巻く「冠動脈」です。動脈硬化が進行して、この血管が詰まって血流が止まると酸素不足になり、心筋の細胞が壊死し「心筋梗塞」を発症します。

心不全

血圧の高い状態が続くと、心臓は常に高い圧力で血液を送り出しているため、次第に心筋が肥大していきます。心筋が厚くなると、心臓の収縮力が弱まり、十分に血液を送り出せなくなります。このように心臓の機能が低下した状態を「心不全」といいます。

心筋梗塞を起こすリスクファクター
高血圧

収縮期血圧195mmHgを超える場合

高コレステロール血症

総コレステロール値330mg/dlを超える場合

高血圧の予防法

血圧を下げる基本は、ライフスタイルの改善です。毎日の生活で、血圧を上げるような要因を取り除くことが大切です。同時に肥満を取り除くことも念頭において、食事や運動に気を配るようにしましょう。

食事のポイント
減塩を心がける

現在の日本人の平均塩分摂取量は12~13gです。高血圧を防ぐために、血圧の高くない人なら一日10g以下、高い人なら一日6g以下を目標にしましょう。

食品(一人前)の塩分量チェック(単位 g )
主食
白米 0
パン 0.8
うどん 0.2
中華麺 0.4
スパゲティ 0.8
即席めん 0.3

 

汁物
アサリの味噌汁 1.9
豆腐の味噌汁 1.4
コンソメスープ 2.0
ポタージュ 2.6
わかめスープ 1.4

 

小鉢
きんぴらごぼう 2.3
ヒジキの煮物 1.9
ツナサラダ 1.2
茶碗蒸 1.9
肉じゃが 3.0
おでん 6.9
かに玉 0.4

 

大皿
さばの味噌煮 1.3
チンジャオロース 2.0
ハンバーグ 2.4
肉餃子 2.0
ビーフシチュー 2.6
野菜炒め 1.9

 

単品
オムライス 3.6
カツ丼 4.5
チャーシュー麺 7.6
ナポリタン 5.6
チャーハン 3.2
ちらし寿司 3.7

 

調味料(大さじ1)
薄口醤油 2.8
濃口醤油 2.5
ウスターソース 1.4
中濃ソース 1.0
ケチャップ 0.6
マヨネーズ 0.3

 

菓子
ポテトチップ 1.0
せんべい 1.4
クッキー 0.9
串団子 0.7
ショートケーキ 0.1
どらやき 0.3

 

減塩のポイント
  • 市販の加工食品やインスタント食品は、塩分量が多いので控える。
  • 食卓に調味料は置かない
  • 酢、レモン、ゆずなどの酸味や香味(ごま、しそ、生姜など)を利用する。
  • だし汁を生かし風味を良くする。
  • ナトリウムを排泄させる、カリウムをたくさん摂る。
    (カリウムはバナナ、りんご、トマト、ほうれん草などに多く含まれる)

 

肥満を解消する

肥満者は高血圧になりやすく、肥満でない人に比べて短命であるという統計もあります。したがって、肥満者は食事でのエネルギー摂取を控え、肥満を解消する必要があります。

運動の効果
  • 血圧を下げる
  • 肥満の解消
  • 善玉のコレステロールを上げ、動脈硬化を防ぐ
運動のポイント
種類 有酸素運動
ウォーキング、ジョギング、水泳、サイクリング、エアロビクスなど
強度 1分間の心拍数110~120程度
頻度 毎日30分、あるいは週3回、1回45~60分
無理なく長く続けられる運動を行うのが望ましく、
長く続けても、一緒に運動している人と、ニコニコ話ができるようなペースで行います。

来月のテーマは、「自然治癒力←→生命力」です。