生活習慣病を予防する特定非営利活動法人 日本成人病予防協会
日に日に陽ざしが強くなり、みなさまも暑さ対策に加えて、日焼け止めや日傘、サングラスなど紫外線対策にも力が入ってきているのではないでしょうか。
紫外線は、肌にダメージを与えるだけでなく、疲労感にも関わっていると言われています。
今回は、「日焼け止めの働き」のほか「日焼け」と「疲労」の関係について解説いたします。
日焼けは、いわば「紫外線によって引き起こされる『軽い火傷』の状態」です。たとえ短時間であっても、紫外線対策や保湿ケアを怠ってしまうと、下記のようなトラブルの原因になることもあります。
そして、最悪の場合には肌細胞のDNAを傷つけ、皮膚がんなどの原因となることもあります。
日焼け止めは、このような紫外線からの肌ダメージ(火傷)を防ぐためのスキンケア用品です。
主に、「紫外線吸収剤」と「紫外線散乱剤」の2種類の成分が使われており、クリームタイプがメジャーですが、ジェルや乳液タイプ、髪まで使えるようなスプレータイプまであります。
また、化粧下地やファンデーション、リップクリームといった化粧品にも紫外線カット機能が備わっているものが多く存在します。
海水浴などに行き、煌々と照り付ける太陽の元で1日過ごした翌日、どっと疲れが出たという経験はありませんか?
適度な日光浴を行うことは、セロトニンの分泌を促し、私たちの免疫力を維持するのに必要なビタミンD生成に欠かせません。ところが、紫外線を浴び過ぎてしまうと、体にとっては大きなストレスとなり、体内では活性酸素が生成されます。活性酸素は、病原体やウイルスを攻撃するなど生理機能の維持のために重要な役割を果たしていますが、必要以上に増えると体内での酸化反応が過剰となり、神経細胞にダメージを与えてしまいます。
目から入った紫外線は、脳に刺激を与えます。長時間続くことでストレスとなり、大量の活性酸素を発生させます。少量であれば、体内の抗酸化防御機構によって恒常性(ホメオスタシス)を維持することができますが、過剰な活性酸素は神経細胞を酸化させ、機能が障害されやすくなってしまいます。
さらに、紫外線は、交感神経を刺激することでさらに活性酸素の生成を促進します。身を守ろうと自律神経がバランスをとるために働きが活発になりますが、やがて自律神経が疲弊し、疲労感だけでなく様々な不調を招くという悪循環に陥る可能性があります。
日焼けによる肌の炎症を抑えるために、エネルギーや血流が使われ、体力を消耗することも挙げられます。その他、日光に当たることで体温が上昇し、体温を維持するために汗をかくことで体内の水分が奪われ、脱水状態になり、血流が悪くなることで疲労物質の排出が遅れたり、回復のための栄養素や酸素が行き届きにくくなることも要因だと考えられます。
ここからは、日焼け止めの表示の意味と強さ、そして、目的別の適切な選び方について解説します。
目的別!日焼け止めの選び方は、こちらの記事をチェックしてみて下さい。
SPFやPAに加え、汗や水に対して強く落ちにくいという意味合いで「ウォータープルーフ」という言葉が使われていました。しかし、これまで明確な基準がなく、消費者にとってはどれを選ぶべきなのか判断基準が難しいものでした。そこで、2022年12月より「UV耐水性」という統一基準の運用が始まり、2024年12月以降は、製造される製品に対しては、従来のウォータープルーフの表記は認められず、「UV耐水性」の表示が義務づけられるようになりました。
UV耐水性とは、水に浸かった後に50%以上SPFの効果を保持できるかを「★」の数で示したものです。そのため、耐水性をアピールする場合、SPFを必ず一緒に表記する必要があります。「UV耐水性★」または、「UV耐水性★★」の2段階で表され、★1つは40分の水に浸した後、★2つは80分水に浸したの後50%以上効果が保持されることを示しています。
水に濡れたり、汗をかいても落ちにくいメリットというメリットがあります。海やプールでのレジャー時やスポーツの時に向いている半面、クレンジングなどを使用し、丁寧に洗わないと落ちにくく、洗い残しによる肌トラブルが起こることもあり、使用後のケアには注意が必要となります。
紫外線は1年を通して降り注いでいるため、季節に限らず塗り続けるのが望ましいといわれています。季節によっては、夏ほど紫外線量は多くないため、時期に応じた強さを使い分けるようにしましょう。また、季節だけでなく塗り心地や肌質に合わせ使いやすいものを選ぶことも大切です。