健康管理情報

糖尿病の検査Ⅰ

1999年6月号
更新)
生活習慣病

豊かな食生活、様々な機械化などの便利さの代償として、それに伴う病気が出てきました。
いわゆる「生活習慣病」です。
生活習慣病は日常生活の不摂生を原因とする、病気の総称です。
その中でも日本人の40歳以上の10人に1人もいると言われている『糖尿病』についてお知らせします。

糖尿病とは

糖尿病とは、血液中に含まれているブドウ糖(血糖)が異常に多くなりその結果、全身の様々な組織や機能に障害が起こります。
通常、食事によって体内に入った糖質は図のようにエネルギーとして蓄えられたり、使われたりします。体の様々な組織におけるブドウ糖の取り込みや燃焼はインスリンによって促進され、血液中のブドウ糖(血糖)を減少させます。また、インスリンは血液中のブドウ糖が過剰な場合は肝臓に摂取させてグリコーゲンに変えて、肝臓に貯蔵して血糖値を下げるとともに、肝臓内のグリコーゲンの分解とブドウ糖放出を抑制します。

主な症状

喉が渇く、尿が多くなる、尿に独特のにおい、インポテンス、陰部のかゆみ、手足のしびれ、視力の低下、体重の減少、足がつる

※糖尿病では特に自覚症状がなく、気がついたときには手遅れの場合が見られる。このような症状が思い当たるときは検査を受けるほうがよい。

ランゲルハンス島

膵臓内に約100万個散在する直径0.1~0.2mmほどの細胞群。
β(B)細胞から出されるホルモンがインスリンである。
糖尿病は膵臓に障害が起こるとインスリンの分泌が不足し、食べ物から消化・吸収されたブドウ糖が処理できず、血液中の糖分の濃度が高まり、腎臓の糸球体で濾過されたブドウ糖が尿細管での糖の再吸収能力が限界を超え、糖が尿に出ることで糖尿病となります。しかし、尿に糖が出ていても糖尿病でない場合もあり、血糖値を調べることで確実な診断となります。

血糖値の基準

※ 食後2時間の血糖値とは、空腹時に75gのブドウ糖溶液を飲む『経口ブドウ糖負荷試験』による2時間後の血糖値。空腹時または食後2時間の血糖値のどちらかが高血糖に該当すると『糖尿病』と診断される。
※境界型の人は将来糖尿病になる可能性が濃厚なので『糖尿病予備軍』と呼ばれ、注意が必要です。

糖尿病の種類

日本人の糖尿病の95~97%はインスリン非依存型糖尿病です。

日本人に糖尿病が増えた原因

  1. 運動不足
  2. 食生活の変化
  3. 肥満

来月のテーマは、「糖尿病の検査Ⅱ」です。